■2022年12月の「絵てがみコラム」
 

週末、太平洋側は晴天の予報だけど猛烈に風が冷たい。この寒波は東北や日本海側に大雪を降らせている。この寒さの中、停電や雪道での立往生…考えただけで無理!! 雪国では暮らせない!! 本当に早い復旧、被害が最小でありますように…。
毎年クリスマスと言っても子供がいるわけでもないので、ちょっとリースを飾ったり友人たちとランチに出かけたりするぐらい。それでもクリスマスイヴは横浜で楽しみなライブがあるので、珍しく華やかなクリスマスと言ってよいでしょう。楽しみ楽しみ!
さて、今年の絵手紙コラムもこれで最終回。次は年明けになります。相変わらず母と実家で妹夫婦とこじんまり過ごす予定。お陰様で母も高齢なのに元気でいてくれて、しっかり一人暮らししてくれて、あちこち病院通いしながらも相変わらずな年末年始を迎えられそう。感謝です! 相変わらずってありがたいことですね。
皆さまもどうぞお元気で、今年もお世話になりました!
ありがとうございました〜。
メリークリスマス〜そして良いお年を!

 

 
 
 

早起きは三文の徳、ついでに地元の人でにぎわう朝市に連れて行ってもらった。
なかなか新鮮野菜を買って帰ることはできないけど(まだもう一日旅行は続くので)旅先での楽しみの一つでもある。珍しいハヤトウリ、日野菜、カラフルな紅しぐれ大根やビタミン大根、サラダに加えるだけでも彩り美しく目が覚めそうだ。私は絵のモチーフになりそうな烏瓜や麻ひもで吊るした干し柿などを物色した。猪汁や漬物なども振舞われていて興味深かった。
漬物と言えば三千院の門前には漬物屋が並ぶ、聖護院かぶらもどどど〜ん!とディスプレイされていた。紫葉漬け発祥の地で昔は毎日お姑さんが漬けた漬物を、若いお嫁さんが頭に乗せて京の町まで売りに行った大原女が有名だ。今、車で案内してもらった道を想像して…「街までも歩いて〜?」「え〜〜〜まじ〜〜?!!!虐待じゃん!」「毎日って…週一じゃダメなの?」「生ものだしね〜」「漬物だから、ちょっとひねてもいいんちゃうん?」「そうだよね〜漬物重いよね〜」と当時の大原の嫁じゃなくて良かったと心底思いながら、きれいな食事処で三段重のお弁当湯豆腐付きに舌鼓。
お陰様で最高の京都・大原の秋を満喫した。

 

 
 
 

楽しかった奈良・京都旅行から戻って早1か月。あっという間の年末である。年末年始の仕事の準備に追われていると、旅の思い出しスケッチが後回しになってしまった! 紅葉も盛りを過ぎて木々の葉が落ちてしまっているでしょう。
思い出しスケッチはそんな紅葉真っ盛りの京都・大原。大原の近くに住む友人の友人の案内で、早朝、叡山鉄道の「二ノ瀬」で合流、山あいの静かな無人駅である。朝もやの鞍馬山などを見上げ、川音を聞きながら深呼吸! 昨夜の雨でしっとり濡れた紅葉の鮮やかさは本当に美しく明度も彩度も数段アップしている。ため息をついているところに、車でお出迎え。友人の友人はお子さんが小さかった頃のママ友だそうだが、Instagramのフォロワーさんでもある。彼女のセンスの良い、自然を愛するまなざしに溢れた写真にいつも感心させられていた。SNSは悪いことも一杯報じられているが思いがけないご縁を繋いでくれることもある。彼女のご厚意に全面的に甘えて、不便な大原界隈を案内してもらうことになった。
紅葉のピークの日曜だというのに、まだ観光客はまばら、早起きは三文の徳! 静かな大原女の小路を歩く。三千院が有名だが、こじんまりした実光院や宝泉院の庭も実に素敵だ。充分手入れされているのだけれど、とても自然で砂も石も枝も落ち葉さえ一瞬の美しさを競い合っているかのように絵になる…というか、絵にもしがたい美しさである。遠景にはまだ朝もやが残り、紅葉の朱色だけでなく苔の緑も鮮やかで「まるで、京都のポスターみたいな光景ね」と納得。
混雑覚悟で、みんな秋の京都に来たがる理由を確信してしまった。

 

 
 
 

10年ぐらい前に(正確には2011年の12月の絵手紙コラム)ルレクチェを一度描いている。当時は私の周りは誰もその名前を知らなかった。ラ・フランスとはちょっと違って、黄色っぽい色白な西洋ナシだ。甘さもちょっと香水っぽい?というか柔らかくって、洋菓子に使われるような梨の貴婦人と当時は紹介されていた。今でもその高貴な雰囲気は変わらない。そんなルレクチェがやってきた! ふふふふ嬉しい!
果物は何でも好きだけど西洋ナシはかなり上位だ。ありがたい頂き物! 5つ並べて写真を撮って角度を変えてまた撮って、一番食べごろそうなのを冷蔵庫に入れてそれ以外を描く。ラフランスよりも染みやちょっとした傷やそばかすが目立つ。でもそれが熟してきた証拠、描くのにもポイントになる。
好きな題材、素敵なモデルでもある。しばし貴婦人とのダンスを楽しむかのような日々を過ごせそう!ごちそうさまです。

 

 
 
 

奈良名物…って奈良漬け? 柿の葉寿司って奈良名物だよね? 中には「鹿せんべい」という人もいるかな? 素朴な料理を古民家で食べたり庭のきれいな和室で抹茶オレと栗の主菓子をいただいたり、出来立てのわらび餅はまだ温かかったり…一人で美味探訪を楽しんだ。
特筆すべきは古い造り酒屋を改装して、こじんまりしたホテルになっている「NIPPONIA HOTEL 奈良」の和モダンフレンチ「ルアン」でのランチだ。地のモノを生かしてお洒落にアレンジ! 奈良も頑張ってるな〜(私は何様だ〜?)なんて思いながら贅沢な時間を過ごした(このお料理の絵は、また改めて描きたいと思ってます)そんなランチもアリ、柿の葉寿司を売店で買ってホテルの部屋で寛いだ姿で頬張ったり、ちゃっかり忘れずにデザートを「ならまち」の団子屋で買っておいて朝食代わりにしちゃったり…気ままな旅は続きます。
右下に描いた鹿は食べ物じゃなくて、鹿が何かを食べてる? いえいえ、春日大社のおみくじで、一刀彫の鹿がおみくじをくわえているのです。
ちなみにおみくじは「小吉」でした。
・ 願望→他人の助けありて思うようにはかどりて吉
・旅立ち→行きて吉 そうだろう! そうだろう! 大当たり!
後半、京都編に続きます。

 

 
 
 

ゆっくり奈良を訪れる時が来たら、ぜひ行ってみなくちゃ!と思っていたところがある。
実は家庭の事情で高校の1年間大阪の家から奈良の美術系の学校に通っていたことがあるのだ。1年間だけ長距離通学でポツンと一人…。またすぐに関東に引っ越してしまったので同級生にとっても私自身にもその奈良での1年間は「不思議な1年」だったのだ。今思えば学校のすぐ裏には橿原神宮、古典や漢文の授業に登場する大和三山「天の香久山・畝傍山・耳成山」は窓を開ければ見えそうなくらいの近所で、地の利を生かした学びや絵の題材は勿体ないくらいそばにあったのだ。でも高校生なんて毎日が通学や課題に精一杯で、くだらない喧嘩を眺めたりするだけで学校の帰りに観光しようとか有名なところだからスケッチしておこうとか考えなかった。そんな話をしながら当時のクラスメートと通学路と学校を訪ねてみたかったのだ。
実現した! 学校の最寄り駅で待ち合わせ。私のわがままに付き合ってくれた2人とは年賀状+αのお付き合いが続いていて、それでも15年ぶり、すっかり忘れてしまった通学路をキャッキャ!いいながら歩く。守衛さんの許可を得て校舎の手前、校庭を見下ろす石垣の所まで入ってみる…47年ぶりくらい?「不思議な1年」の記憶が一杯蘇る。変わってしまったところ、全然変わらないところ。あの先生はどうしてる? もうお爺さんだよね…学校の裏手の橿原神宮をそぞろ歩く…体育のマラソンの授業でここまで走ってきて、橿原神宮で執り行われていた厳かな結婚式をさぼって眺めていたことなどを思い出す。
池の向こうに校舎が見える。当時こんな風に見たことなかったね…。私はたった1年だったけど、みんな良いこと悪いこと一杯あって思い出したくないこともあったかもしれないけど。いいんじゃない? 今が大事! 今会えたことが大事! 私はそう思う。私の修学旅行に付き合ってくれてありがとう!

 

 
 
 

一生に一度は泊まってみたい老舗名門ホテル…と言うと関西の迎賓館「奈良ホテル」。若いころからクラシックなこだわりホテルマニアとしてはクリアしなくてはならない奈良ホテルなのである。日光金谷ホテル、箱根富士屋ホテル、東京ステーションホテル…アジアでは台北の圓山大飯店、シンガポールのラッフルズホテル、バンコクのオリエンタルホテル…それらに一度は泊まってみたので今回はとうとう念願の?奈良ホテルを1泊だけ奮発してみた。
1909年創業の奈良公園の高台に低層で堂々と構える姿は、趣き抜群の存在感である。エントランスホールには行燈を思わせるシャンデリアが品よく下がっている。自慢の赤じゅうたんの階段の手すりも年季が入って鈍く光っている。ホテルマニアにも色々あるだろう。サービスをチェックする人、料理にこだわる人、私はその土地らしさの建築物のデティールを見るのが好きなのである。窓枠や壁紙、部屋の照明や…つまり雰囲気。スタイルやこだわりを感じるホテルにきっと興味があるのだろう。なので一度泊まると気が済んでしまうのだけど。
奈良滞在の2泊目3泊目は、こことは対照的な一番新しい「MIROKU NARA HOTEL」を予約した。ここは超スタイリッシュで無駄を省いたフロント、すべてタッチパネルでカード式。クールな石と木でシンプルにデザインされたティースペースなどアバンギャルドで面白い。
この2つのホテルの選択は我ながら素晴らしい! 大人の修学旅行としてはホテルの対極的今昔物語、これだけで立派なレポートが書けそう…と思いながら、歩き疲れてどちらも早々に爆睡した。

 

 
 
 

大人の修学旅行奈良編はまだまだ続きますが、今日はこのことに触れなくては…。我が日本サッカーの大活躍! 2日朝4時に目覚ましをかけてドーハの歓喜2度目を体験させてもらった。ドイツ戦もスペイン戦もこんな結果になるなんて…びっくり! その結果、決勝トーナメント進出を決めた! アディショナルタイムの長いこと! VARの1ミリの奇跡の凄いこと! 大興奮でしたね。ドイツに勝ったとき誰かが言っていた。間違いなく今年日本にとって一番の嬉しいニュース。そうですよね〜いいニュースが全然ない日本にとって、やった〜良かった!って思える唯一のニュースになるかも。
睡眠不足のまま、その後一睡もせずに午後からは墨彩画のZoomレッスン、絵馬に来年の干支のウサギを描くお題。片面にはベーシックに松竹梅と行儀よくジャンプする兎を描いたけど、もう片面には日本代表ユニフォームを着た兎たちを。ま〜ドーハの歓喜の記念に。
ドーハと言えば数時間だけ滞在したことがある。つまりトランジット。2013年の10月、Parisへ向かう経由地で空港の中だけでちょっぴり中東気分を味わった。(詳しくは絵手紙コラム2013年11月パリのお土産話7で)当時のコラムの最後に「カタール・ドーハは2022年FIFAワールドカップの開催地に決まった。」と結んである。その時が今なんですね。想像もしなかったことが今起きているんですね。この後も、もう少し頑張れニッポン!

 

 
 
 

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