■2022年11月の「絵てがみコラム」
 

東京にも大きな専門店があり充分全国の良い品が手に入るのだけど、やっぱり本場とか老舗とか、発祥の地とか本店とか…そんな言葉に弱いのである。同じようなものでも、折角奈良に行くのなら(駄洒落か?)筆と墨を買ってこよう!と決めていた。古くから墨と言えば奈良!筆も奈良筆が有名である。
少し専門的な質問をしたら若い店員が年配の店主を呼んだ。奈良筆と言っても最近は職人が激減して、コロナとウクライナ問題で筆の材料であるイタチや青リスの毛が中国やロシアから入ってこないのである。この夏以降、筆が凄く値上がりしている。1.5倍くらい値上がりしているのだ。それは知っていたけど、奈良の老舗の筆専門店でも「ウクライナ問題が…」と言われるとため息が出る。そういう訳で、古い売れ残っているような筆の方が正直お薦めだという。手の良い職人が良い素材で作ったものを数本選んでもらった。
墨の「古梅園」は創業1577年とんでもない老舗である。残念ながら製造過程は見学できなかったけど、家の作業場の裏まで伸びる貨物用の古い線路や青銅の吊るし行燈も見せてもらった。
実は亡き夫がずっと以前に体調を崩し心身ともに過労気味で早期退職した時、一人で旅行すると言い出した。京都はにぎやかすぎるので奈良に行くという。何となく心配で携帯電話もあったかしら?…という時代で、こちらからは連絡が取れない。私は一つだけ夫に頼みごとをした。「古梅園に行って、水墨画用の青墨を一つ買ってきて。4〜5000円くらいの」。目的の無いさすらい?の旅でも一つくらいミッションがあったら、店の人とも話すだろうし買って帰らなきゃ!と思うだろうし…との作戦だ。心配をよそに古梅園への訪問はとても良かったらしく、「えっちゃんに頼まれなければ入れなかった。すっごい老舗で奈良らしい体験ができたよ」と一番の土産話になった。
今度は私が一人でその店の扉をガラガラと開けた。おそらく夫が見た店の佇まいとそう変わらないであろう古い墨屋さんの…。

 

 
 
 

秋たけなわ、ちょっと贅沢に奈良3泊+京都2泊+ちょっと大阪、5泊6日の一人旅を楽しんできた。夏前から計画を立てて泊まりたかったところに泊まり、行きたかった所を訪ね、会いたかった友と懐かしい場所を訪れた。
天気にも恵まれた。奈良の3日間は温かな晴天で、京都の2日間は夜降った雨が朝には止み見事な紅葉を一層輝かしいものにしてくれた。ゆっくりしながらの気ままな一人旅だが、楽しくてやっぱり盛りだくさんになってしまった。絵を描くための旅でもあったけど見る方食べる方を現地ではやっぱり優先、これからちょっとずつ描いていきたいと思います。しばしお付き合いください。

奈良は本当に久しぶり、まるで大人の修学旅行気分で早起き。今日もいい天気! 11月とは思えない温かな日差しに鹿たちも眼を細目てまどろんでいる。戻ってきた外国人観光客もちらほら。子供たちもたくさんの鹿におっかなびっくり…鳴き声と歓声と…平和な光景だ。
少しスケッチをしながら奈良公園→春日大社→東大寺→二月堂…ベタなコースだけど裏参道をぶらぶらしたり、クラシックな工場跡地の事務所のようなカフェで休んだり…いい感じ!

 

 
 
 

芸術の秋第三弾くらいですが、先日池袋の東京芸術劇場ギャラリーで開幕した「第30回国際平和美術展」のオープニングに行って来た。300点ほどの様々なジャンルの作品の中、Parisから凱旋してきた私の作品も鎮座していた。やっぱり大きな会場に展示されるのは気持ちの良いものだ。会期は12日まで。私も水彩絵の具や墨、和紙などを使用したメディアミックス。油絵、日本画、水彩画のジャンルに入りにくい異端児だが、この作品群の中ではそうでもない感じである。
初日には近くのメトロポリタンホテルでレセプションが開催された。着席のフルコースで全国から出展者が集まって華やかなものになった。私は初めての出展だったが何度も出展されている諸先生だらけだ。その時々の平和やSDGSを意識したコンセプトが掲げられ、作品制作を続けられる幸せな平和を護らなくては…との思いに至るのだ。
ゲストミュージシャンが登場した。ウクライナ人歌手カテリーナさん、民俗楽器のバンデューラの演奏と美しい歌声に癒された。今もウクライナの故郷の子供たちは苦しい環境にある…と言われると、美味しいディナーもちょっとのどに詰まっちゃったけど、現実には何もしてあげられないけど心の隅でいつも意識していることは大事ですよね。作品制作にきっと少なからずや影響を与えていると思いたい。感慨深い一夜だった。
来週は都合で1回お休みします。その後不定期で描けたら更新します。お楽しみに。

 

 
 
 

早くも霜月、11月に突入してしまった! 多くの人は「もう11月だなんて早いよね〜」と言うけど、私も「そうね〜」とうなづきながら実は「やっとだよ!」と思っている。なぜなら待ちに待った予定が11月に集中しているからである。
What's Newでもお知らせしたとおり、「国際平和美術展」が8日から始まる。春に送り出したその作品は、複製画がバルセロナに渡り、原画は夏のParisのユネスコ本部での展示を終えて池袋の東京芸術劇場のギャラリーへ。久しぶりの再会という訳だ。(今回は皆さまにDMをお送りしていません。ごめんなさい。枚数が極少なかったので…ご了承ください。実は来年の個展で見ていただこうと思っているので。)初日にはホテルでレセプションがある。久々の華やかな席! ジャケットを新調しちゃったぜ!
それから1年以上前から楽しみにしていた映画がやっと封切りだ。もう待ちくたびれた感じ…。中旬には奈良・京都・大阪5泊の旅です。コンサートを挟みながら、食べたり見たり…そしてちょっとスケッチ。春から予定していた一人旅。のんびりの予定が結構いろいろ盛りだくさんになりそうだけど、楽しみだ。それらをそつなく実行するために、いろいろ準備に追われている。友だちの個展にも行きたいし、銀座に行ったついでに旅に持参する筆も用意したい。でもそれは奈良で買うとして、お店の位置は…お教室の教材の準備をしながら、ガイドブックのmapとにらめっこしたり。新幹線は予約済みでコンサートチケットの発券は…。ワクチン接種の証明書も必要だよね。温かいのかな〜急に寒くなるかな〜まだまだ日はあるのに変に緊張しているのだ。結構しっかり段取るタイプなので机の周りには笑っちゃうほど付箋だらけなのだ!

 

 
 
 

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