■2024年8月の「絵てがみコラム」
 

夏休み最後の週末だというのに、日本縦断状態に停滞している台風。新幹線や飛行機も軒並みに止まっている。旅先で先が見えないこんな状態に遭遇したら…大変! でももちろん水害や土砂崩れで命の危険にさらされることのほうがずっとずっと大変だけど。大きな被害が出ないことを願うばかりです。無事でありますように…。
少し話を変えて…先日、初台のオペラシティアートギャラリーで開催されている「TAKADA KENZO」高田賢三・夢をかける展を見に行ってきた。70年代にいち早くパリに進出したファッションデザイナーだ。私が桑沢デザイン研究所に通っていたころ、同学校にはドレス科と呼ばれるファッション科もあり、(私はグラフィックを主に学ぶリビング科でしたが)渋谷のPARCOの近くということもあって通う生徒たちのファッションも華やかだった。ちょっと個性的な学校で他の大学や専門学校を卒業したあと、もう一度この学校で学びなおす人も多く年齢もバラバラだったので、大人びたカッコいい生徒も多かったのだ。おりしもデザイナーブランド全盛期で渋谷も原宿もその卵たちであふれていた気がする。小さなマンションやアパートの一室からスタートしてブランドを立ち上げる!という勢いがあってその憧れの一人が高田賢三らだった気がする。
残念ながら2020年にコロナで他界したが、その回顧展には時代の華やかさやパリの香り、パリに持ち込んだ「和」、その融合…夢のある明るい花柄、ロマンのあるフォークロア、そんな懐かしさとパワーにあふれた作品に満ちていた。色や花があふれて気分が明るくなった!

 

 
 
 

また大きな台風が近づいているらしい、来週は強い勢力のまま日本を横断していく予報だ。最近の豪雨はとても激しいし驚くほどピンポイントで天気が違って怖いくらいだったりする。目の前の不安や忙しさがある時に限ってその先の楽しいことを考えるようにしている。現実逃避というか、人参ぶら下げて走る…ってやつですね。このコラムを長年読んでくださっている方は十分私がそんな性格だってよくご存じかと…そうなんです! コロナ禍で暗礁に乗り上げていた旅行をこの秋に計画中。去年はベトナムに行ったけど今年はもうちょっと遠出で、私にとっては少し冒険です。
スペインの北西ガリシア州「サンチャゴ・デ・コンポステーラ」の美術館で開催される国際平和美術展への参加とレセプションのために10月中旬、一人出発。イスタンブールとマドリードで2度の乗り換え、それぞれ乗り継ぎ時間は5時間…さあ空港でどうやって過ごそうか…そんなことから始まって、丸1日がかりで到着するのは夜遅く…。やっぱりそこは少しでも不安を取り除きたいので、お迎えタクシーを予約しておくべきか!
サンチャゴ・デ・コンポステーラで2日過ごした後は友人二人と念願のバスク旅! ビルバオで合流予定だ。わがままな自由旅行なので自分たちで組み立てなくてはならない、飛行機の手配、バス移動の確認、ホテルの予約はもちろんの事、レストランの予約も。もちろんそんなことが大好きな旅友達だ。アイデアを出し合い、手配を分担したり、不安を楽しみに変えるためのあれこれを考える。やはり旅は贅沢だけど想像力とか人間力とかを成長させる気がする。
それぞれに高齢の母親の元気を祈りながら、自分の健康管理に留意し(9月は自分の身体メンテナンス月間)仕事を滞りなくやりこなして…ほらね! なかなかの人間力が必要でしょ? がんばろう〜!

 

 
 
 

これを書いている8月16日金曜日の夜21:00、ただいま台風7号通過中。風はそんなに強いと思いませんが、かなり土砂ぶっています。幸い外出の必要のない一日、お盆休みを直撃した台風、皆さんもご無事でありますように…。私はおとなしく絵画制作。座りすぎて実はまた腰が痛い…。ちょっと横になったり、おやつをつまんだり。
おやつといえば、先日いつも行列のあるドーナツ屋さんの前を通りかかったら、すぐに買えそう! どれどれ! 台風の引き籠り生活に備えて自分用に一つ二つ買うことに。げげげ! なんじゃこれ! すごい色! 今こうなってるの〜? ドーナツ業界。まるでホテルのプールに浮かぶ蛍光色の浮き輪。ターコイズブルー〜スカイブルー〜パーピル〜ショッキングピンクのグラデーションがホワイトチョコの上にマーブリングされている。色合いは全部違う。「ギャラクシーの一番派手なの下さい。それとピスタチオの何とか…ってやつ、一つずつ下さい」
私は以前、ドーナツを殴ったことがある?! 高くて甘くない上品なおやつに成り下がった?ドーナツに腹が立って「お前はドーナツとしてのプライドがないのかー!」と手持ち用の油紙の上から一撃! ドーナツってケーキやシュークリームより幼稚で大きくて甘くて(揚げパンのイメージ)、ちょっとチープな俗っぽいおやつだと思っていた。それがドーナツのいいところで、高級で上品なおやつになって欲しくなかった。豆腐やら米粉やら甘さ控えめのヘルシーな姿に変わり始めたころから、裏切られた気分になっていた。(殴ってごめんね。時代があなたをそうさせたのよね。)でも結局残さず食べたけど…。
おもちゃのような蛍光色のギャラクシーも大好物の今どきのピスタチオクリームたっぷりの(たぶん恐ろしいほどの高カロリー)ドーナツも「らしさ」を取り戻したかもしれない…けど、現実は「甘くない」。

 

 
 
 

パリオリンピックも終盤、初めての競技や夏休み中の高校生の活躍で盛り上がっている。そんな盛り上がりに水を差すような、日向灘を震源に起きた南海トラフ地震…巨大地震注意という初めての警報が出た。お盆休み目前の嫌なタイミングだ。いざという時のために備えてほしいと…う〜〜〜ん。飾り棚のガラスの蛙を数匹引き出しにしまった。避難グッズが入ったリュックを見直さなくてはいけないかな〜? あまり切羽詰まった対処ができないダメダメな私。みんなやってるのかな〜?
地震前の昨日、久々の楽しい食事会があった。以前、壁紙のデザインの仕事をしていた頃お世話になったメーカーの社長さんが名古屋から上京するタイミングで、その頃、縁があった面々を集めて久々に会いましょう!ということになった。夏野菜を生かした涼しげな和食のコース料理が話を盛り上げた。もう20年以上時がたっても、思い出話やそのころの仕事の苦労や、消息確認や話は尽きない。年代もバラバラなのに当時フランクフルトで開催されたインテリアテキスタイルの展示会の視察旅行に同行した面々でもある。何もかもが新鮮で一生懸命だった時代を一緒に過ごした記憶は鮮明である。
その社長はもう86歳、とても元気で当時と印象は変わらない。四国88か所のお遍路を制覇して、この夏0番札所といわれる、中国西安の青龍寺を訪ねてコンプリートする予定だという。素敵だね! 高校生や高齢者に刺激をもらう夏です。

 

 
 
 

パリオリンピックたけなわ、連日熱戦が繰り広げられている。普段あまり興味のない競技もやっぱり見入って、共に泣いたりガッツポーズしたりしてしまう。何年も毎日毎日練習してきた結果が数秒で決まってしまう、潔さや残酷さ…当人の気持ちはいかばかりかと思う。
それにしてもさすがのParis! 馬術のベルサイユ宮殿の、広大な庭を臨む光景…フェンシングのグランパレの重厚な空間! 敵わないよね? 京都御所や宇治平等院で開催しているようなモノ? 美し過ぎます。
可哀想なくらいの雨の中開催された開会式もいろんな意見があるけど、個性を尊重するフランスらしい独創性はあっぱれ! それにしてもあの、モナリザはどうなったの?と誰に聞いても、は? ミニヨンと戯れたレオナルドダヴィンチのモナリザはセーヌ川に浮いたきりになってるのでは? 聖火ランナーがルーブル美術館の入り口を通るのだったら川から拾い上げて美術館に届けるべきだったのでは?!と、誰に言っても、は?と言われる。やりっぱなしで、後は自分で想像して!ってそこもフランス流なんでしょうね〜。

 

 
 
 

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