■2024年6月の「絵てがみコラム」
 

梅雨ど真ん中だから仕方ないんだけど、極端に大雨の日や、もう猛暑日ってくらい暑い日やなんだか疲れる。今週も盛りだくさんな日々だったけどこれは描いておきたいな〜と思って広島旅行第3弾の下瀬美術館。
昨年できたばかりらしく、広島の地元の人でも知らな〜いと言われた。厳島神社からフェリーで宮島口に渡りJRでもっと西に20分ほど。一人旅…見知らぬ駅で降りる…「大竹」駅、美術館のシャトルバスを待つ。地味な普通の町だ。まったく観光地ではなさそう。
目的の私設美術館「下瀬美術館」は海に面した再開発地にあって、島々のシルエットが目の前に広がる。右手のほうには工場地帯? 呉? 海に浮かんだようなカラフルな色のコンテナが並んでいる。この一つずつが展示スペースになっていて、浮遊感のあるコンテナは可動式で展示内容によって変化するらしい。建築家坂茂の設計でとてもユニークだ。アートの中でアートを見る感覚で、隣接する宿泊施設も格別らしい。
地方都市にも個性的なアート空間で足を運ばせる吸引力! 充実した広島1泊、アート一人旅になった。

 

 
 
 

先週の続きで広島旅の様子をもう少し…。翌朝「グランドプリンスホテル広島」の目の前から朝一番のフェリーに乗り宮島・厳島神社へ。早起きの甲斐もありまだ観光客もまばらで、海岸沿いの湿った砂地をじゃりじゃりと歩く。朱色の大鳥居が見え始めると、やっと来れたな〜と感慨深く、おとなしい鹿たちにあいさつしながら厳島神社へ。
ちょうど白無垢の花嫁が写真撮影をしていた。「The 日本の花嫁」って感じで素敵だな〜と。日本のシンプルな様式美の本殿と相まってとても美しい光景だった。私は旅先で良く結婚式やウェディングの撮影と遭遇する。ラッキーなことだと思う。幸せそうな笑顔に偶然出会えるとこちらまで今日はいい日!みたいな気分になるものだ。
名物の「穴子めし」を食べ終わるころには表参道にも町屋通りにも観光客があふれて、ごった返していた。早起きは三文の徳! まさしくそんな厳島の朝でした。

 

 
 
 

先週末、駆け足で広島に行って来た。この年にして初の広島、原爆ドームや平和公園。仕事で広島市内を訪れたことはあるのに、当時はそこを訪れる余裕も覚悟もなかった。今回、国際平和美術展に出品するというタイミングで行ってみるべき時なのかな…と。
それでも今回もバタバタの駆け足旅、地元の高校生の野外授業に混ざってスケッチを一枚描くのが精いっぱい。久しぶりに広島在住の友人に会う予定や展覧会を見に来てくれるかも?と思ってDMを送った友人にも会えるかな?と気ぜわしい滞在になってしまった。でもね。駆け足でもいいタイミングだったと思う。コロナ禍を挟んでみんなそれぞれいろいろあって時が過ぎて…会わないままが、別に普通になってしまう毎日。自分の描いた絵がそのタイミングを作ってくれた。
いつか行かなきゃ!と思っていた広島の原爆ドームを自分の目で見た。市電をおりてすぐに整頓された川沿いにその姿はあって…でも、なんか胸が締め付けられるような気分になった。観光客はいっぱいで外国人もたくさんいた。
そして地元の高校生があちこちで写生をしていた。邪魔をしないようにペンを走らせる。梅雨入り前の空はどんより…ところどころ鉄骨がむき出しに…レンガもたくさん崩れ落ちたままになっているのね…。隣で描いている女学生の絵はずいぶんレンガが赤い…え? そんなに赤い? なんて思いながら…赤いのかもしれない。数分のスケッチで少し心を落ち着かせた。

 

 
 
 

年明けから関わってきたお仕事が、いよいよ出版されます。「色彩から読み解く・源氏物語」色彩学校時代からお世話になっている色彩の専門家で編集者でもある江崎泰子氏の著書。その本のカバー、帯、口絵、挿絵のための絵を全部お任せいただきました。
「色」を語る本なので微妙なトーンを表現するために和紙をたくさん使いました。色の和紙だけでなくこだわりの色は自分で塗って、描いて…その上に墨で描き加えて…私がよく描くメディアミックススタイルの作品で「源氏物語」を表現しています。
昔テレビドラマで誰かさんが光源氏を演じたことがあり、そのときにわか勉強をして以来。改めて色彩から読み解くと新しい発見がいっぱい! 光源氏の色男ぶりに納得し「色男」という意味さえ深いものになる。色に関して造詣が深い人にはもちろんのこと昨今の「源氏物語」ブームで興味が最熱している人に見ていただきたい本になっているのではないかと思います。
6月17日発行、詳細はWhat's Newより。アマゾンでももう予約販売始まっています。よろしくお願いします〜!

 

 
 
 

先週は美術展に行ったりコンサートに行ったり結構遊んでしまったので、今週はカルチャー3講座をスタートに貯めてるお仕事、がんばるぞ〜!と思った矢先、母が庭の草むしりをしている最中に転んでアイアンのガーデンチェアに頭をぶつけて流血! 3針縫うというアクシデント。万が一打ちどころが悪く良くない症状が出たら大変!と3日泊まりこむ。実家から千葉市の講座へ出勤。案外遠く往復5時間…仕事もはかどらず…まあ母も大事に至らなかったようで良かったのです。このくらいのことは仕方ないことだし日に日に増えてくるんでしょうね。
91歳で逞しく一人暮らしをしてくれていること自体、もう立派な奇跡! 尊敬! なんだけどね〜。怪我した翌日には庭掃除、草むしり…懲りない…。「つまずいたとかじゃなくて、ちょっとくら〜〜っとして」そっちのほうがやばいじゃないか! 水、全然飲まないし…注意を全然聞かない…。年を取ると頑固で、「こうやって91歳まで生きて来たんだからこれでいいの!」と妙にたくましい。「でもけがは痛いでしょ? ちょっと気をつけようね?」
娘も結構若くない、自分にも言い聞かせて5月が過ぎ去りもう6月。梅雨の走りのような天気が続いている。いっそ雨が続いて母が庭や家庭菜園に出ていけなければ良いと思ったり、雨で草も育っちゃって仕事が増えたりして…と思ったり…悩みは尽きない。

 

 
 
 

 <<<5

7月>>> 
 
▲TOP
■COLUMN ●HOME