■2023年8月の「絵てがみコラム」
 

誰も歩いていない…犬や猫さえも…記録的な暑さの前に、みんなが太陽から逃れているかのような一日。
金沢から20分新幹線に乗って、富山の駅前から路線バスで小一時間。橋を渡ったら残った乗客一人、私だけを乗せて坂を上って終点に付いた。そこは「おわら風の盆」で有名な越中八尾の小さな町。いくつかの縁が私をここに導いた。ずっと以前に企業情報誌で「日本の祭り」を描く仕事をしていた。実際に行って描くには発行に間に合わず、いつも資料映像などを見て描いていた。人が多いし暑いし寒いし…正直、行って見たいと思うほど興味のある祭りはそうそう無かった。しかし何となく妖艶で、哀愁を帯びた胡弓の音色で夜通し踊るなんて…古い街並みと相まってどんな所だろう〜と頭の片隅に残っていた。
しばらくして「おおつか茶舗」という中国茶館の主から、私の中国茶シリーズのポストカードのファンで、自分のお店の改装に合わせて新しくするホームページで私の絵を使わせてもらえないか?という打診。もちろん喜んでOK、それ以来私のポストカードもお店に置いてもらっている。
そしてもう一つの偶然。そのお店は「越中八尾」にあり、店の改装を引き受けたデザイナーさんが私を知っているという。そのまたずっと以前に富山のレストラン(富山市民プラザ内の…もう無いだろうな〜)の壁に蜃気楼を描きに行った遠い記憶が。私を覚えていてくださったことにも驚きだけど、もう30年???以上前のこと? 富山に行くのはそれ以来? そんな縁が重なり、私にとっては行くべき「約束の地」の一つに違いなかった。
初めて会うとは思えない「おおつか茶舗」の主に浙江省の望海茶を御馳走になりながら、散策の合間合間に涼みに寄らせてもらった。お店の常連客も集ってくださり、即席のサイン会になったりして…何もかもが白昼夢のようだった。
「おわら風の盆」は9月1日〜3日に台風シーズンの風を封じ、五穀豊穣を祈る為に続けられている伝統行事。今頃は祭り前の前夜祭が繰り広げられているだろう。

 

 
 
 

記録的な暑さに見舞われた金沢・富山、ひとり2泊3日の旅に出た。一番の目的は金沢21世紀美術館の市民ギャラリーで開催された「第31回国際平和美術展」に出品した自分の作品を見るため。またそのレセプションのために午前中カルチャーのクラスを終えて新幹線に飛び乗った。
金沢には5月に行ったばかりだったけど、その時は友人と日帰りでコンサートと駆け足で兼六園や東茶屋街を散策した。次に来るときは「金沢21世紀美術館」に行くぞ!と心に決めて…。人気のこの美術館で地下の市民ギャラリーとはいえ自分の作品と対面できるのは、ちょっとワクワクする出来事だった。念願は一つ叶った。
金沢21世紀美術館はモダンアートの美術館で、公園のように開かれた空間、屋外に常設されているオブジェも楽しい。しかし暑すぎて〜2,3枚の写真を撮るのが精いっぱい! 一番有名な「スイミングプール」という作品には思わず飛び込みたくなるほど。
この日近づく台風の影響を受けたフエ〜ン現象で、日本で一番暑い38度を記録した金沢とニュースで伝えていた。実感!!

 

 
 
 

盛りだくさんで中身の濃い一週間だった。連日晴天! 猛烈な暑さの中、立川で特急あずさに乗り換えて一路小淵沢。迎えの車で素敵な別荘に到着! 別荘というより万平ホテルかと思うほどの別天地…最高の夏の一日だ。
早速庭に出て写真を撮りながら良さそうな角度でスケッチ。凝った設計の大きな建物が私を少し苦しめる。立派過ぎて小さく描かないと大きさを感じない! ん!? わかりますか? 木々や庭石など他のものとの対比を描かないとスケール感が出ないな〜と悩みながら。少し疲れたら咲き乱れる花々を描いたり、オーナーの愛情があふれた庭も素敵だ。小さなチャペルや音楽会が開けそうなスペースも…。そんな空気感を描いてほしいという依頼である。夏の日差しや朝夕のちょっとひんやりする風を感じて表現してもらえれば、と招いていただいたのだ。頑張らなくっちゃね!
しかし、下界は猛暑! そんな爽やかさはすぐにぶっ飛んでしまった。

 

 
 
 

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