■2011年4月の「絵てがみコラム」
 

GW初日、思い立って「どっか行こう!」と友人を誘った。「近場で新緑のきれいなところ、今なら藤かな?」ネットで検索、便利だね〜。
春日部の隣町、藤の牛島駅下車、日本最古の藤が見事!とヒットした。このあたり乗り降りするの初めて、と小さな冒険気分で駅から10分ほど歩く。藤の時期だけ開園されている庭に入ったとたんに甘い香りに包まれた。
樹齢1200年余り特別天然記念物とパンフレットに表記されている。見事に幹は大蛇が這うように広がり、根元から数本に分岐して藤棚700平方メートルの薄紫のカーテンを広げている。そんな藤棚がそれほど広くは無い庭に点在している。花は4分咲き、まだまだつぼみが下に下に広がっている。最も長いもので2メートルにもなるという。はじけたばかりの花から、甘い高貴な香りが広がって蜂を呼んでいる。風にそよそよと藤色の濃淡が重なって揺れるかんざしのよう…「上品な花だね〜」と友人と何枚も写真を撮る。午後のひと時、風もさわやかで丁度良い散歩だったねと家路に就いた。

さて、GW後半、毎年恒例の新宿伊勢丹での手描き扇子のイベントです。
5月3・4・5日の三日間、相変わらずですが、相変わらず出来ることを幸せなことと思って頑張ります。詳しくはWhat's Newをご覧ください。

 

 
 
 

いったい何回「個展お疲れさん会」やってんだ!と自分に突っ込みを入れたくなるほど、ちょっとした食事会には皆勤賞で参加する。一時は計画停電やら自粛ムードやらで、なんとなく外出を控えたりデパートやレストランも営業時間が短縮されていたりしていたが、それではいけない!動き出さなくては!元気に消費生活もせねば!とちょっと無理やりにでも買い物したり、外食したり精神的元気な振りをしている感。
それでもいいじゃない!できるだけ友達とたくさん会って、たくさんしゃべって、沢山食べて少しでも楽しい時間を持とうじゃないか。などと思いながら今日は久々青山でランチ。20年前5年くらい住んでいた町なのに、あっちもこっちも変わっててキョロキョロしちゃう。私が住んでいた小さなマンションは立体駐車場に姿を変えていた。
友人の予約してくれたお店はモダン・スカンジナビアン・キュージーヌ。北欧料理をお洒落に提供するニューヨークで人気を博したお店の東京進出、予約も取りにくいそうだ。インテリアや照明なども確かに北欧テイスト。
リンゴンベリーのソースがかかったミートボールやノルウェーサーモンとポテトを重ねてたっぷりチーズをのせて焼いたプディングなど。盛り付けも美しくなかなか美味しかった。プディングという名前で三角形の料理が出て来たのには予想外だったが面白い。そういえば北欧はまだ行ったことがない。本場の味を知らない。「結構長く生きて来たと思うけど、まだまだやることあるね。」
今日のランチのテーマは(テーマなんかあったっけ?)そういう結論に達した。
知らないことも、やることもまだまだ一杯!

 

 
 
 

東北関東大震災の日から一カ月余り、あの時遭遇して途中中止になった音楽劇の再演を見に再び栃木県佐野へ行って来た。頻繁に起きる余震を心配しながら、でも毎日心が沈んで、通り過ぎる春を逃してしまいそう。あの時と同じ友人と、お花見を兼ねて穏やかな春の日。各駅停車の小旅行。
あの時はまだ風が冷たく、コートを着ていた。4月の風は温かで車窓からは菜の花や満開を過ぎた桜が春霞のよう…。筍ご飯のお弁当と桜餅を買って佐野駅のすぐ上に広がるお城跡の公園でいただく。うららかな春の日差し、やわらかな風が吹くたびに桜の花びらが舞ってお弁当に舞い込む。平和な情景なのに…震災前とは全然違う、誰もが重く暗いものを心の奥底に持ってしまったような、心底楽しめない気持ちがある。
幼い子供のいる近所の家族は、ここにずっと住んでいて良いのだろうか…と毎日考えると話す。生まれ育った町を、そんな風に思わなくてはならないなんて、原発事故の罪は余りに大きい。それらすべてを抱えた被災者の悲しみや不安は、どれほどのものか…。
お芝居は何事もなかったように進む。あの時と同じ場所、同じ席で、「ああ…このシーンの時だった」とおそらく、観客も出演者も静かに心の中で息をのむ。「また会えた」それがどれだけ尊いことか、それを確認にここに来たような気がする。あの瞬間に「また会える」ということが不可能になった人が、どれほど沢山いるか…。
今年の桜はいっそう儚げに見えた。

銀座伊東屋での個展の売り上げの中から、義援金として「アート&セラピー協会・東日本支援クレヨンネット」に5万円寄付させていただきました。被災者の方への支援の一環として、アートを通してのメンタルケア、特に子供たちの不安やショックを、絵や色に接することによって和らげようとする活動を応援するものです。画材の購入などの一部に役立てていただけたらと思っております。ご協力ありがとうございました。

 

 
 
 

女性は自分へのご褒美が大好きだ。ずっと前から欲しかったバッグやアクセサリー、ケーキひとつ買うのさえそんな口実をつけるが、もっぱら最近の私の「自分へのご褒美」は入浴剤だ。
被災地の方々の入浴さえままならない状況の中、好きな時間に好きなだけお風呂に入れることは本当に幸せなことだが、余震におびえてカエルの行水…じゃなかった、カラスの行水のようにそそくさとお風呂を済ませる日が続いてはいるが、個展会場通いで疲れがたまった時に「自分へのご褒美ご褒美!」と言いながらお気に入りの入浴剤と一緒に入る。入れるのではなく、一緒に入るというのが正しいのだ。
花王のバブ・エキゾチックスパというのがお気に入りで、ドリーミーフラワー・ビーナスフルーツ・スイートスパイス・ミステリアスウッドという4種類の洒落た名前がついた香りで、特に私は「スイートスパイス」に今ハマっている。ひと箱に4種類入っているので、つまり4回に1回しか巡ってこない。その錠剤を持って浴槽に入り背中と浴槽の間、なるべく腰のあたりに置くとブクブクシュワシュワと、しばしジェットバス気分。(ほんとにわずかなジェットバス気分!けなげでしょ〜?)目を閉じるとココナッツとジンジャーの甘い香りがバリやタイのリゾートホテルを思い起こさせるのだ。アジアの高級リゾートの香りなのよ〜。紫のお湯よ〜。まったくもってCM通りストライクな反応で恥ずかしいが、至福のひとときだ。ささやかながら、今自分へのご褒美を街頭インタビューで聞かれたら、迷わず答えてしまうだろう。
香りというのは大事で、個展の会場にも実はこっそり薔薇の香りのサシュを忍ばせてある。「香るような薔薇の絵ね」と表現していただいた方には申しわけないのだが、街も気分も沈みがちなこんな時に、わざわざ私の絵に足を止めて下さった方に、ほんの少しでもふわっと心休めてもらえたら…と。
「久しぶりだわ〜。こんなに心がゆったりしたの」その一言が私への何よりのご褒美なのかもしれない。

ケロケロワールド、coffee brake-10、No.521〜新入り一挙ご紹介です!
和んでください〜。

 

 
 
 

創業100年を超える銀座伊東屋本店、「STATIONERY」という看板を日本で初めて掲げた老舗文具専門店だ。現在の銀座2丁目に全11フロアの売り場、赤い大きなクリップが目印のスタイルになってからも久しい。今では両隣りにブルガリ、ティファニー、道路を挟んでルイヴィトン、カルチェ、シャネル…とすごいエリアになってしまっているが、変わらず鉛筆一本消しゴムひとつから買える店として伊東屋のファンは多い。
私のポストカードをあれこれ迷いながら選んでくださっていた妙齢なご婦人は「10代のころからね〜私はここが大好きで色々新しいものがあるでしょ〜?」と、お洒落な女学生姿を思わず想像する。私も、学生のころから数えきれないくらい、きれいな紙を探しに、外国製の色鉛筆を買いに、ちょっと目上の方へのプレゼントを見つけに、クリスマスカードも毎年買いに行く。そのシーズンの混み具合は半端じゃないが。革のブックカバーやペンケースに名前を入れてくれるサービスも伊東屋らしいスペシャル感だ。
デザイン会社勤めの頃も市場調査はまずここだった。ラッピングペーパーのデザインをしていた頃は自分のデザインした商品が伊東屋にあることがうれしくて、メーカーに頼めばもらえるものをわざわざ、一枚買いに行ったりして…。銀座で一番よく行く所は今も昔もここなのだ。
そんな伊東屋のミニギャラリーでの個展もそろそろ最終日と思っていたら、会期が延長されることに。(次の予定の作家さんにキャンセルされちゃったのかな〜?)色々気分が沈む時だから、明るい春色の作品をギャラリー担当者さんにも気に入っていただけたのかもしれない。
3日の日曜日の18時ごろに一旦閉廊、扇子などの小物と売約済みの作品を撤去した後、10日まで絵画作品を引き続き展示いたします。(最終日は15時終了)
私は在廊する予定はありませんが、もしブルガリやヴィトンやシャネルにお越しの節には、ちょっとついでに立ち寄って頂けたら嬉しいです。

 

 
 
 

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