■2010年9月の「絵てがみコラム」
 

雨が一気に秋を連れて来たような、気温の変化。ちょっと寂しい苦手な季節。去年の今頃は引っ越しを決めて荷造りを始めていた頃かな?南流山の生活にも慣れて、のんびり暮らしているけど、近くにおいしいケーキ屋さんと気のきいた花屋さんが無いのが不満!お財布と体重のためには良いのだけどね…。
先日絵画教室の題材として用意した落花生とお墓参りの帰りに千歳烏山のパン屋で買ったアップルパイ、料理家の友人・高根恵子さん手づくりのアーモンド入りビスコッティを机に並べて今宵の絵手紙コラムのモデルに。落花生は描きながらどんどん減って行く…固めの触感を楽しむイタリアのお菓子、ビスコッティは温かいカフェ・ラテに浸して、アップルパイも少し温めて…食欲の秋がじわじわと私に迫ってきます。
しかし猛暑で初秋の果物が不作だとか、栗も葡萄も梨も。実家の近所の、ガレージに毎年見事に葡萄がたわわな房をつける御宅があるらしいのですが、今年もころ合いを見計らって鳥につつかれないように房に紙の袋を取りつけたそうで。そろそろ食べ頃と収穫を楽しみに袋をはずしてみると、見事にすべて干し葡萄になっていたという笑い話も。さて、今年の秋のお楽しみは?

 

 
 
 

東京芸術大学大学美術館で開催中のシャガール展を見て来た。実はあまりシャガールは好きな画家ではないのだが、少し秋めいた風に誘われて芸術の秋の入り口?ということで上野の森を訪れた。シャガールの作品は今までにも何度か見る機会があったが、ちょっとロマンチックすぎてちまちま迷ったような線で描かれているような気がして、ザバっと潔い、勢いのあるタッチが好みの私は特に心惹かれることはなかったのだ。
でも今回日本初公開といわれる、米メトロポリタン歌劇場で上演された歌劇「魔笛」のためにシャガールが制作した衣装デザインや舞台背景幕の下絵にはとても興味をそそられた。衣装のスケッチに登場人物や動物の表情やシーンまでイメージできそうな、ラフだけど的確なスケッチ。そこに着色と同時に布の端切れを張り付けてイメージをよりリアルに伝えるデザイナー魂が見てとれて、しかしそれが作業のための指示書ではなくやっぱり作品として十分説得力のあるものなのだ。(超有名な作家の作品、当然ですが…)今まで迷っているように感じたタッチが急に、頭の中にある漠然としたイメージを手繰り寄せるための大事なひと筆ひと筆なんだと気付かされた気がする。時には大きな有名な作品よりラフなスケッチが人を感動させることもあるんですね。
今週はいろんな出会いや巡り合わせ、楽しいこと悲しいことが入り乱れた一週間だった。シャガールの絵のようにいろんな色が混ざり合って溶け合った一週間だった。

親友のお父さまご逝去の悲報に接し、心からお悔やみ申し上げます。

 

 
 
 

この夏、とっても素敵なアクセサリーを手に入れた。存在感のあるピン幅9センチほどありそうな、天然石が一杯ぶら下がったピンブローチだ。そのアクセサリーの名前は「カエルな気分・緑な気分」???え?そんな好み的中な名前のアクセサリーがあるわけないって?そ〜なんです。そんなテーマで作ってもらった、完全オリジナルのアクセサリーなのです。
クリエーターの友人は沢山いますが、最近インテリアの仕事から転向、手先の器用さを生かして天然石にこだわったアクセサリー作りを始めた彼女は、自らの病気と闘いながらも明るく制作に励んでいる、素敵な友人のひとりなのです。天然石の持つパワーに触れながら、付けてくれる人の笑顔を想像して作っていると、不思議と落ち着いて体も心も浄化されていくような気分になると彼女は言う。もちろん根を詰めて肩もこるだろうし目も疲れると思うけど。色彩心理を少し学んだ私にもそれはわかるような気がする。その時の気分や状況に対応するにふさわしい色があるし、小さい石でもそれを3D化して目と触感としても、心や体に響くような、パワーを発するような気がするのだ。
6月の個展の前に個展のテーマだった「愉しい蛙日和」のイメージで、自分への記念に制作を依頼。彼女は個展の初日に、素晴らしい私のお気に入りを仕上げて元気に持ってきてくれた。難しいテーマ、漠然としたイメージを伝えただけだったけど、同じクリエーターとしてきっと楽しんで、悩みながらも心燃やして制作してくれるに違いないと思っていた。こんな風に作り手の気持ちが響いてくる「モノ」が大好きだ。「カエルな気分・緑な気分」はカエルコレクションのチェストのアクセサリー部門の引き出しの中で燦然と輝いている。

 

 
 
 

9月になったというのに、秋風どころか厳しすぎる残暑…なんざんしょ?葉物野菜も花も元気なく、花瓶の水はすぐにぬるま湯になって、水が腐る。「暑いですね〜」も聞き飽きたので、違う話を。
鶏頭、夏から秋にかけて咲く花、もちろん名前は雄鶏の“とさか”に似ているところから来ているが、熱帯アジア原産らしく暑さには強いのだ。昔からお彼岸の供花の束に入っていたり、畑の脇で塊になって咲いていたり、正直、あまりオシャレな花とは言い難いが、他の追随を許さないほど個性的で絵のモデルとしてはかなり好みのタイプなのだ。
良く見ると本当に面白い花ですよ。毛深くて厚みのある花部分、扇のように広がった花の下、プチプチ種もユニーク、筋張った茎も、花の色味が少し滲んだような葉の色も。絵手紙をたしなまれる方是非挑戦してみましょう!

 

 
 
 

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