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チェスキー・クルムロフへは日帰りツアーも多いが、私たちは町の隅々まで歩いてみたかったし、夜景も朝もやに煙る静かな町も素敵に違いないとインターネットで小さなホテルを予約した。5室しかない窓から旧領主庭園が見える小さなホテルで屋根裏部屋のような梁のある可愛い部屋だった。
町は石畳で曲がりくねった小さな坂や路地が交差して迷子になりそうだけどすぐに見慣れた角にたどり着く。1階はレストランになっていて2階から上がペンションやホテルになっている建物が多く、観光客相手のみやげ物屋もあるけど、そこに生活している人がチョコレートを買いに来たりアンティークな道具が並んでいたり、小さな町の生活も少し垣間見ることもできた。一週間ぐらい滞在して街角をいっぱい描きたいな〜思わずそんな気分になる。
昼間の夏の陽射しが嘘のように夜は冷たい雨になった。石畳は雨に光り、街燈に照らされた角からふっと中世のいでたちの小人が横切ったような…森の妖精が飛び立ったような…。そんな錯覚にとらわれそうなそんな夜だった。
翌朝雨は止み、谷あいの小さな町は朝もやに煙っていた。ひんやりとした朝の空気にやっぱりコートを持ってきて良かった〜と予備のスカーフも首に巻いて川沿いを散歩。鴨が足元まで寄ってくる。
綺麗で可愛い町、いつまでもこのままで…。
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プラハ本駅から6人がけのコンパートメントの2等車に乗り込んだ。雨だ。5月だというのにコートが必要なくらい冷たい雨だがヨーロッパの列車旅行なんて、なんだか「世界の車窓から」っぽくてウキウキする。
途中何度も車窓がまっ黄色になるくらい満開の菜の花畑が目に飛び込んできた。菜種油、車の燃料にもなると言う。ず〜っと遠くまで黄色い畑は続き、緑萌える麦畑とのコントラストが目に鮮やか、飽きることなく2時間半チェスケー・ブディヨヴィツェ駅に到着。この段階で晴天!寒暖の差が激しいチェコの春とは聞いていたが夏の陽射しだ。
ここから小学生も乗り降りしてくる路線バスに乗り換えて約一時間、世界遺産の小さな町チェスキー・クルムロフに到着!緑の谷あいにオレンジ色の可愛い家々が並び、その真中にモルダウ川が蛇行しその流れを見守るようにクルムロフ城がそびえる。まるで絵本の中のおとぎの国。それがバスを降りた私たちの目の前に広がっていた。
ずっと以前に世界遺産を紹介した番組でこの覚えにくい名前の町を何となく記憶していた。でもその映像は現代のものとは思えず中世の(中世の映像があるはずも無いのだが…)町の景色だと思っていた。時が止まったようなロマンチックな、小人とか妖精とかが出てきそうなそんなところだった。わ〜行ってみたいな〜。そう思っていた町についにやって来た。
チェスキー・クルムロフは13世紀南ボヘミアの領主クルムロフによって城が築かれたことに始まり、当時は銀の採鉱やビールの醸造で繁栄した。城や街並みは城主が変るたびにルネッサンス様式、ロココ様式などミックスされ美しいフレスコ画に覆われた独特な建築群として残った。その後すっかりこの町は忘れ去られていたそうで1992年世界遺産に登録されたことによって再び息を吹き返したチェコの宝物のような町なのだ。
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チェコ料理といってすぐに思い浮かぶ人は少ないだろう。確かにこれと言って有名な名物料理はなく、海に面していないので肉料理がメインだろう…という想像はできる。しかし抜かりなく美味ものにあり付きたいと貪欲な私のリクエストに応え、Sちゃんはネットで味の評判の良いお店や夕景が美しい川沿いのカフェなどバッチリ下調べをしてバラエティー豊かに旅の食を楽しませてくれた。
チェコの食事でいわゆる日本人のご飯にあたるものはお米でもパンでもなく「クネドリーキ」と呼ばれる小麦粉やジャガイモを牛乳や水で練って茹でたり蒸したりしたちょっとネチッとした固めの蒸しパンのようなもので、クネドリーキ自身には殆ど味がなく、ビーフシチューのようなハーブで煮込んだ牛肉や豚肉料理にザワークラウト(キャベツの酢漬け)と一緒に添えられ、ちぎったクネドリーキにその肉料理のソースなどをつけて食す。
絵の左側は伝統的なチェコ料理。アヒルのローストをモダンに盛りつけたもので、ジャガイモのダンプリング(クネドリーキ)と紫キャベツの酢漬け、揚げたたまねぎ、エンダイブのグリーンなどが添えられていた。アヒルのローストは表面がカリッと中は柔かく美味だった。
そして右側に描いたのはお店の人のオーダーミスで思いがけず味わうことになったスイ―ツ系のクネドリーキだ。蒸した丸いクネドリーキの中身は切ってびっくり!さくらんぼや苺のコンフィー。まわりはたっぷり生クリームと蜂蜜の海。大皿一杯の迫力デザート!あんまん3つ分くらいのボリュームは充分あったが、見た目ほど甘すぎず二人で分けてぺろりと平らげた。次週もチェコお土産話続きます。
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春まだ浅いチェコに行って来ました。このホームページの管理人でもあり公私共に大変お世話になっている友人のSちゃんと気ままな二人旅だ。
直行便はなく、私たちはスイスのチューリッヒで乗り継ぎ成田をたって約15時間初めてのチェコ・プラハ・ルズィニェ空港に降り立った。第二次世界大戦後ソビエトの支配下にあったチェコスロヴァキア共和国。暗い歴史や革命、共産党政権の崩壊などつい最近まで混乱が繰り返されチェコとスロヴァキアが連邦を解消してチェコ共和国として独立国家になったのは1993年の事だ。
かつてはボヘミア王国の首都として繁栄したプラハ。あらゆる時代の恐怖感さえ感じるほどの美しい建造物が小さな町に閉じ込められたようにそのまま残り、特徴のある教会も多いことから「百塔の都」と呼ばれている。建物ディティール好きの私たちはずっと以前からチェコに興味津津で、その上最近チョッと時代を感じる雑貨や昔の印刷物が雑貨小物好きの間でも注目され、西荻窪でこだわりの生活雑貨店をやっている友人からも雑貨の買い付けを頼まれたこともあり期待に胸を膨らませて意欲的に町を歩き回ることになった。
絵は観光の拠点でもある旧市街広場。旧市庁舎の壁にある珍しい天文時計は毎正時になると鐘の音と共に12人の使徒が動き出す。そのGOサインは骸骨が紐を引くというようなちょっとコミカルな演出もあり、それを目当てに観光客が集まる。まわりはバロック様式の教会やロココ様式の宮殿、アールヌーボーの装飾が美しいカフェなどため息が出る程ゴージャスな広場だ。そこを観光馬車がカポッカポッと優雅に横切る…ああ!まさしく中世のヨーロッパそのものだわ〜〜〜!興奮の旅は続く。
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旅行の楽しみのひとつに美味しいものを食べる!というのがあり、行き先が京都となるとそれが圧倒的上位にランクされ、お料理に加えて甘味も外せない。
祇園の鍵善良房の「くずきり」はあまりに有名で、特製お重のなかにふるふる〜っと涼しげに泳ぐくずきりのなんて上品でおいしいことか。六角通りの大極殿の甘味どころにも今回はじめて入ってみた。12年ぐらい前にこの近くを訪れた時は何のお店かわからず、伝統有りそうな重々しい入り口に「大極殿」の暖簾だけ…。和菓子屋さんとは思わずに入り口で記念写真を撮っただけで通り過ぎたことを
思い出す。後で京都に勤務していたことのある父に老舗の和菓子屋さんと聞いた時は暖簾を押す勇気がなかったことを後悔した。
今回は甘味どころも併設されているとリサーチして念願の季節のスイ―ツを。「琥珀流し」という寒天のかたまりを大きなスプーンで無造作に掬い取ったような、これまた涼しげな面持ち。ガラスの器の底には小石のようにあずきが沈んでおり、甘いシロップの中に桜の花が…まるで疎水に散った八重桜が流されて行くような…おそらくそんなイメージで考案された甘味なんだろう。母も「綺麗だね、美味しいね〜」と坪庭の見える席で大満足な様子。京都町歩きの合い間に甘いものでのひと休みは至福の時だ。
そして念願の「霜月」の「木の芽琥珀」というお菓子もゲット!京都の新緑を象徴するような甘いだけでは無い、ふっと木の芽の香りがほのかに香る上品なお菓子だ。見た目の美しさとその時だけの季節の香りが旅行を一段と贅沢なものに格上げしてくれる。血糖値も上がりそうだが…。
*都合により次回の絵てがみコラムを一回お休みします。
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ゴールデンウィーク直前、母と二人で新緑の京都2泊3日の旅行を楽しんできた。ガイドブックや雑誌の特集、京都通のアドバイスなど情報には事欠かない!おすすめの食事処を早々に予約して緑豊かなエリアをゆっくり散策するプランを練った。
この時期スペシャルな拝観も楽しむことが出来た。季節はずれの寒さに肩をすぼめながら高台寺の夜間ライトアップ!夜のお寺なんて初めてで多少不自然な光で映し出された白砂の庭など、まつられているねねさまも驚いているのでは?と思う感もあったが池に映り込んだ緑の木々は荘厳な雰囲気さえあった。
天皇皇后両陛下御結婚満50年記念特別公開の京都御所も思いがけず最終日に見ることが出来た。右近の桜、左近の橘…まさにひな壇飾り!「すごいね〜やっぱり京都はさすがだわ〜」と見どころだらけの観光名所に足の疲れも忘れて母もしみじみ感動。
私は銀閣寺の近く、哲学の道から少し脇に入ったところにある「法然院」がとても気に入った。鬱蒼とした木々に囲まれた石段を登り小さな山門をくぐると白い砂を盛り上げて水紋が描かれた白砂壇が左右に。その先の庭の小さな橋の周りには石楠花が咲き、山藤が垂れ下がっていた。小さな庭だけどすごく落ち着ける素敵な庭、椿や紅葉の名所としてよく知られているらしいが私は初めてだった。境内奥に谷崎潤一郎の墓所もある。八重咲の桜も終わり萌えるような新緑。哲学の道もああ森林浴!
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