■2007年2月の「絵てがみコラム」
 

雨が上がった金曜日の夕方、曲線のガラス張りの外観はオレンジ色の夕焼けに美しく光っていた。今年のMADAMADAMの早春の宴(ちょっと遅めの新年会なのだ!)は先月六本木にオープンした国立新美術館鑑賞と館内のフレンチレストラン「ポールボキューズ」でのディナーと決めて夜遅くまで鑑賞できる金曜日の夕方に集合した。
話題の黒川紀章氏設計の建物は六本木の雑踏を抜けた脇道から突然姿を現す。不思議と周りに高層ビルのない、空がひらけた空間にガラスの波がうねっている。
今回は「国立新美術館開館記念20世紀美術探検」という20世紀以降現代までの「物」に溢れた時代のアートを模索した企画展を鑑賞した。新しい白く広い空間にそれは難解ながらも気持ちの良い展示で、ゆっくりモダンアートのダイジェストを楽しんだ。この美術館は「物」を蓄積しない、収蔵作品を持たない美術館だそうだ。それも潔いコンセプトかもしれない。
毎年日展を見に行っているが、今年からはここでの開催になると聞いている。
ボリュームたっぷりの食事を楽しみながらMADAMADAMの今年のアート計画などの話に花が咲いた。ガラス張りだからレストランからも東京タワーが見えた。今度はエッフェル塔を見ながら食事がしたいね…なんて夢も膨らむ。

 

 
 
 

照明に関する展覧会に出かけた。空間演出に関して言えば照明の役割はとても大きく、印象もすごく左右されるのに、普段の暮らしの中では不自由なく明るければOKという風潮が強い。なので海外のホテルの部屋の電気が暗くて戸惑ったり、間接照明が素敵なお店に入ると、なんか雰囲気に惑わされて思った色と違う色の服を買ってしまったり…。
本来日本人は障子や行燈(あんどん)など光と影を上手に暮らしに取り入れて、ほのかな明るさと明かりによってできる影の奥ゆかしさを楽しんで来たはずなのに、文字通り、明るいことが豊かな「文明の証明」のようになって照らしすぎて暮らしに立体感がなくなってしまっているのかもしれない。
その展覧会でも照明器具は主張しないシンプルなデザインで、同じ形なのに全体にほのかに照らすもの、明りの重心を下げてくつろぎ感を出したもの、人が集まりたくなるあかりだまりを意識した明り…など明りの立ち居振舞いをデザインコンセプトにしていた。新しいビルやお店が出来たとき照明だけに注目してみるのも面白いかもしれない。いい設計、いいデザインの空間には必ずこだわりの照明が静かに演出されているはずだ。

 

 
 
 

一粒280円。薄暗い特別室で白い手袋をしたスーツ姿のお姉さんがオーストリッチのような風合いの厚手の紙箱にきちっと並べるチョコレート。
まるで、特別な宝石か標本箱に収められた貴重な発掘品。
しかしちょっと高くないですか〜?オフィス街のランチがコーヒー付きで1050円、今日のお薦め海鮮丼850円…なのにチョコレート一粒280円!
ひとくちだ。パクッっとひとくち280円。本格的高級チョコレートがベルギーやフランスから上陸して久しいが、なんだかどんどん高くなっているような気がする。
もちろん手頃な値段で美味しいチョコレートもたくさんあるけど、時代は美味しいものを少しだけ、義理チョコも義務チョコもやめてかなり高くても本命と自分へのご褒美用に買うという格差社会だ。
女心をわしづかみにして高級チョコレートはジリジリジリジリ人気も値段も上昇中。
「ね?美味しい?おいしいでしょ?わーーー!ひとくちで食べない!!味わって食べて!ゆっくり味わって!」と言う女達の心の叫びがあちこちから聞こえてきそうなバレンタインデーも、もうすぐ。
そのひとくち、よ〜く味わって食べましょう〜!

 

 
 
 

目からウロコだ。噂の町を初めて歩いた。韓国通の仕事仲間との打ち上げに是非お薦めの韓国料理をとリクエストして新大久保界隈を訪れた。
はあ〜噂では聞いていたけど、すごい! 日本じゃないみたいだ! ハングル文字が溢れ、お店の人もお客さんも韓国人(昼間は韓国ドラマ好きな日本の奥様たちで一杯だそうですが、夜は日本に住む韓国の人、留学生だらけになる町だそうです)新宿の歓楽街と隣接している為、歩くのには少々勇気のいるエリアで敬遠がちだった。
でもおもしろい! 韓国食品のマーケット、韓流スターグッズの専門店、お土産にしたくなるような気の利いた綺麗な刺繍の小物や巾着、人気テレビドラマのチャングムの衣装を着て写真を撮れる店まである。思わず韓国に来た記念に一つ…と思ってしまう。まるでここはソウル?南大門?って錯覚におちいる…といっても、実は海外旅行好きな私が、すぐ近くの隣りの国、韓国には一度も行ったことが無いのだ。
近いからいつでも行ける、なんて思っているうちに韓流ブーム全盛になっちゃって激辛やキムチは苦手だしと思い込んで行きそびれている。そんなに激辛じゃないし味わい深い美味しいキムチも一杯あるんだよね。知らなかったな〜って感じ。通の人に指南してもらって、プチ韓国体験にはピッタリのエリアだ。
近くの事ほど知らないものなのかもしれない。興味のアンテナを立ててみると案外近くに未知なる刺激が有りそうだ!

 

 
 
 
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