■2007年1月の「絵てがみコラム」
 

大寒を過ぎたばかりだと言うのに何だか春のような気候だ。今日も3月の陽気だとか…。季節が季節らしくないと言うのも少し気持ち悪いものだ。
近くの馴染みの中国茶館に、時々気が向いたら絵の具や筆を持って行って可愛い茶器や骨董のコレクションを描かせてもらう。マスターやママさんと旅の話や台湾茶葉の話などしながら、そんなお店もこの夏で閉めるという。
お寺や神社じゃないんだから、いつまでも近所にあるって思っちゃいけなかったんだけど居心地の良い空間とおいしいお茶のファンも多く、淋しいと常連客は嘆く。「第2の人生、これからのためにひと休みしようと思って」と話すママさんの顔もちょっとほっとしたような、ちょっと淋しいような…。
私より少し先輩だけど文字通り茶飲み友達のように楽しい時間を過ごさせてもらった。夏までにはまだ時間があるけれど、この空間にいることを惜しむように、いくつも茶器を並べて何枚も絵を描いた。春がもうそこまで来ているような気候がちょっとおセンチにさせていた。

 

 
 
 

大阪での仕事を終え土曜の昼下がり新幹線で帰路に着いた。穏やかな冬の陽射しが昼食を終えた乗客を昼寝に誘う。ビジネス客が多い平日とは違う、ゆる〜い空気が流れている。
大阪ではイベント会場のデコレーションと空間の什器に現場で絵を描く仕事だったが、仕上げをしているうちに夕べの最終では帰れずもう一泊することになった。東京の展示会場と同じく海の近くの埋立地で工場や新しい企業、マンション、アミューズメントスポットが点在するエリアに会場も宿泊施設もある。すっきり美しい街だがちょっと無機質で味気ない。
しかし海の見える部屋と言うのはやっぱり気持ちいい。ぎっしりコンテナを乗せたタンカーやちょっと派手なラインの外国船がゆったりと、でも意外にせわしなく行き交っている。10分ほどスケッチをしているうちに何十隻もの船が通り過ぎて行った。
さて、大阪では残念ながらきつねうどんもたこ焼きも食べられなかったけど、せめてもと大阪の押し寿し弁当を買って新幹線に乗り込んだ。もうおそらく100回も150回も乗っているだろう東海道新幹線。子供の頃は奇妙な形の紙コップを集めたり食堂車に行くのが楽しみだった。夕焼けに光る黄金の富士山を見たこともあった。結構いろんな思い出のある新幹線…。
暖冬ですね。米原には雪も無い。私の乗った車両は車椅子エリアや赤ちゃんに授乳させたりできる多目的室のある車両だったからか、赤ちゃん連れやお年よりが多い。
みんな静かにお昼寝中。静岡あたりを通過、私も少しうとうと…富士山も熱海の海も観そこなった…。

 

 
 
 

丸の内、人気のお好み焼き屋さんでおねぎがたっぷり乗ったすじ焼きを食べながら女友達との新年会だ。
年明けからいろんな友達と会う機会が続いている。今年前半の出会いが集中してしまったかのような…。久し振りの高校時代の友人。大阪から出張に来て1時間だけ会えると言う友人。同じ音楽が趣味のにぎやかな仲間たち。仕事では意外な顔ぶれのコラボレーション。
なんだか女性ばかりと会ってテンションの高い年の始まりだ。
会話のバリエーションもこれまたすごい。バーゲンの収穫報告、職場の部下の憂鬱、イオンの出るドライヤーの効果、犬の老後と残業との関係、CCレモンホールの改装について、写真写りの良い温泉の信用度、リストカットする子供について、新番組の笑える「派遣」、通販の誘惑、あの俳優誰と結婚したんだっけ?出張の予定と女一人では泊まれない旅館、美容院のこだわり、空き巣対策のNG、ご主人の名前が消えた年賀状、理解不能なバラバラ殺人、増税と扶養控除について、パスタのデザインをするカーデザイナー、カフェのトイレの数、暖冬とタイツの厚み、新幹線より安い航空券、丸ビルのスケートリンク……。
以前何かの本で読んだことがある。女三人集まれば男達の10倍の話をするらしい。話の深さはともかくとしてとにかく膨大な量のお喋りをしてエネルギーを費やし、たくさん食べる。いろんな愚痴も悩みも、「あー楽しかったね、又会おうねー」に落ちつく。
そしてそれは明日からのエネルギーにつながる。貴重だー。
帰って来て手を洗っても手の甲から、お好み焼きの匂いが消えない。何時間しゃべっていたんだろう。
週明けまでの仕事がまだいっぱい残っている。顔でも洗って仕切りなおそう!

 

 
 
 

あけましておめでとうございます。
今年がよりよい平和な年になりますように…
今年もどうぞ宜しくお願いします。

日本的なお正月らしい植物に南天がある。赤い実が印象的な千両や万両と並んで、難を転じると言う言葉と南天の名前を文字って縁起物として古くから愛されてきた。
おせち料理にも庭の南天の葉を2、3枚ちぎっていつも飾りとして添えていた。でも飾りだけではなかった。南天の葉には殺菌効果があり、実を乾燥させたものは「せき」止めの効き目があるらしい。のど飴がありますね〜そういえば。
不浄を清めるとも言われ昔はよくお手洗いの横の庭に植えられていたとか。昔の家はお手洗いが北の端にありましたね。南天は丈夫で少々日陰でも育つこともあり植えられたんでしょうね。昔の家のお手洗いやお風呂は外にあったり、半分外みたいな庭を通って行かなくっちゃいけなかったり…寒くて怖いところでした。そんな庭に確かに南天が植わっていたような…。南天を描きながら昔の親戚の旧家を思い出しました。
昨年は嫌な事件や悲しいこともいろいろ有りましたが、難が転じて福となるように。今年第一号の絵てがみコラムは南天を描きましたー!

 

 
 
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