■2007年3月の「絵てがみコラム」
 

小田原土産に金目鯛の一夜干しを貰った。大皿からはみ出る特大サイズ。今夜のメインディッシュ、菜の花の辛し和えを添えて春らしいご馳走の食卓だ。窓からは満開の桜。幸せ幸せと食が進む。
忙しいーと言いながらも春を満喫している。机にばかり向って描いていても行き詰まることが多い。心豊かに過ごさなければきっと良い絵は描けない…なんて自分に言い聞かせながら季節の風に誘われておとといの夜は駒込にある六義園にライトアップされた、しだれ桜を見に行った。
六義園は5代将軍・徳川綱吉の信任が厚かった、川越藩主柳沢吉保が1702年に築園した大名庭園だ。普段は夕方には閉門されるが紅葉の見頃と、有名なしだれ桜の大木がライトアップされる時期だけ遅くまで公開される。天気予報のバックに「満開を迎えた六義園のしだれ桜」という映像が流れて、歩いてもいける距離なのに夜桜はまだ見てな〜い!と出掛けた訳だが、案の定そんな季節限定の誘惑に会社帰りの上司とOL2・3人の組み合わせ、外国人ビジネスマンの接待にと大いに賑わっていた。
「いや〜これが日本的な景色と言うものですよ〜」とついでにライトアップされている見事な池や松の回遊式の庭をめぐっていた。メインのしだれ桜の前は携帯のカメラを向ける人だかり。花はソメイヨシノより小ぶりだがピンク味が強く、風になびくしだれた枝が何とも妖艶な趣だった。

 

 
 
 

そろそろ綺麗に咲いているに違いない…。そう思ってイラストの入稿に来るのを楽しみにしていた。先週、デザインプロダクションの近くの木蓮の街路樹がたくさんつぼみをふくらませていたのだ。カメラを持って出かけた私の期待どおり、ごつごつしたちょっと殺風景な枝にすごく唐突になすびが立っているような、藤紫色の羽の小鳥がたくさんとまっているような不思議であでやかな光景だ。周りはオフィスビル、少ない空をバックに何枚もシャッターをきった。木蓮、大人っぽくて大好きな花だ。
そして今週はいよいよ桜!花の季節を楽しみましょう!

花と言えば千葉のギャラリー、スペースガレリアで4月19日(木)〜24日(火)「花・春展」に参加します。花と春をテーマに10人の作家やデザイナーが作品で花を咲かせます。お近くの方は是非お立ち寄りくださいね。
詳しくはWhat`s new をご覧下さい。

 

 
 
 

奈良在住の旧友に会った。仕事で東京に来た帰り、ちょっと会おうという事になったのだ。
私は父の仕事の関係で高校の一年間奈良県にある美術系の高校に通った。近くには有名な神社やお寺が点在し、古文や歴史の教科書にでてくるような有名なところは教室の窓から実物を眺めながら授業を受けた。でも通学する事、友人とおしゃべりする事に目一杯で時間を見つけてお寺を拝観したり仏像を眺めたり美しい庭を歩いたり…ということはほとんど無かった。今思えば勿体無い事をしたと思うが高校生のときなんてそんなものかもしれない。同級生とはほとんど音信不通だが2〜3人年賀状のやり取りや東京に来たからと連絡をくれたりする、彼女はそんなひとりだ。今回も京都の骨董市で見つけたときれいな赤い古布裂をお土産にくれた。
そういえば彼女はずっと前から可愛い千代紙を張った手作りの葉書を送ってくれたり、幼い娘と散歩して拾ったと色づいたもみじを手紙に添えてくれたり、古布裂でしおりを作ってくれたり、小さい心遣いが温かい人だ。彼女は子供が3歳のときに突然ご主人を失った。並々ならぬ苦労をしたと思うのに変わらず優しい笑顔で再会できた。赤い一枚の古布裂でその頃の彼女からの便りなどをいろいろ思い出した。
「その娘も私たちが会った時と同じ高校生よ」なんて聞くと、え〜!ありえな〜い!と女子高生風?に叫びたい気分だ。

 

 
 
 

ちくわぶ、ちくわぶが無い!お店のお兄さんに聞いてみると売り切れだという。
「今日はやけにおでん種が売れるなぁ〜」…そうなのだ。夕方から急に風が冷たくなった。そんな日はお鍋かおでん。もう三月だしお鍋というより、おでんくらいのホクホク具合で丁度いい。主婦の考える事は同じ様なものだ。
ちくわぶは無いけどもうおでんモードになっちゃったので、大根メインのおでんとあいなった。
私が好きなおでん種は大根、厚揚げ、ちくわぶがベスト3だ。ちくわぶが好きだというとわりと珍しがられるが、どうやら「すいとん」とか「ニョッキ」とか小麦粉のモッチリ系が好みのようだ。太るはずだ。やばいやばい。
そうだ、意外なところでトマトのおでんというのも、彩り的にも酸味のある味的にもアクセントになってお薦めだ。お試しあれ。でもあまり煮込みすぎると崩れてだらしないトマトになってしまうので要注意。

 

 
 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪もとうとう降らないまま春が来てしまった感じですね。なんとなく目元がむず痒く、私もついに花粉症デビューか!?

今年は4月の「蛙フェア」と友人の千葉市のギャラリー・スペースガレリアでの「花春展」、5月新宿伊勢丹での「手描き扇子実演」、6月西荻窪のTriebでの「3人展」、そして7月に谷中のギャラリー玄〜GENTで4年ぶりの私の「個展」を開催と、創作発表の場を集中的に予定している。
大変なのは承知の上で決めたスケジュールだが、頭の中ではあんな感じ、こんな感じとイメージを膨らませながらも頭の中と手がピッタッと合っていないというか…はかどらずに苦しんでいる。
特に個展に関しては久しぶりなので、ギャラリーのある谷中の町を歩くことで何かインスピレーションやパワーを得られないかと彷徨ってみた。谷中はJR日暮里駅と千代田線千駄木駅の間の、お寺やお墓古い庶民的な家や小さなお店が狭い路地に残るエリアだ。少し上野のほうに行くと不忍池、芸大や東京都美術館、国立博物館、上野動物園とつづく。
もう一つの目的でもあった東京都美術館で「オルセー美術館展」も見る。平日だというのに入場するために30分も待ちすごい人気だった。中ももちろん混んでいて、頭越しに鑑賞することとなった…。
ちょっと疲れて早々に会場を出て上野公園を歩く。大寒桜も河津桜も満開。春本番も駆け足で迫ってきているようだ。もう3月なのだ。
ひな祭りの用意なんか何にもしていなかったことに気づく。あわててはまぐりのお吸い物でも作ろうかと材料を買った。部屋にも明るい色の花を飾りたくなった。桃の枝より緑の元気な葉を描きたくて菜の花にした。
菜の花の葉っぱにさえパワーをもらいた〜い!そんな心境だ。

 

 
 
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