■2006年5月の「絵てがみコラム」
 

大事な友人がこの世を去った。ささいなことを思い出しては涙があふれる。
病気の事も死期さえも彼女はしっかり受け止めて、自分にできることを最期のときまで懸命に考えて実行していた。
お寺のこと、お墓のこと、全部決めて、棺に入るための服さえもあつらえていた。
看病していた姉弟も彼女の希望をかなえる為に全力で協力し、もう思い残すことは無いと語っていた。
身体の痛みを分かち合えない分、もっと何かしてあげられたのでは…と残った者は悔いる事が多い。でも遺族に後悔させないというのは彼女が生ききった証拠だろう。
友人との思い出は多すぎて、これからも事あるごとに彼女の事を思い出すだろう。こうやって亡くなった人は生きている人の心の中で生き続けるのかもしれない。
彼女が決めた都心のお寺、桜の散る頃まで生きていたいと言っていたけど、季節はまぶしい新緑。境内には青梅が実っていた。
ビルの谷間から見上げた空は悲しいほど青く小さかった。

次週は管理人さん渡米中の予定につき、一回お休みさせていただきます。
私も一泊温泉旅行の予定あり。次回はそんな様子を絵てがみコラムに…と思っています。お楽しみに。

 

 
 
 

もう梅雨かな?と思うほど鬱陶しい天気が続いている。
雨に濡れた実家の菜園からたまねぎを掘ってきた。土の匂いと雨の匂いと新鮮なたまねぎのパワーが目に染みる。
水にさらして明日の朝にはサラダに加えよう。野菜は何でも大好きだ。毎朝サラダも欠かさない。最近はベビーリーフのパックを買って、レタスやきゅうり水菜を加えた5〜6種類のグリーンサラダが我が家の定番で、水煮の豆などを散らしたらヘルシー気分満点だ。
月刊誌の「wa・sa・bi」の仕事で、地方から取り寄せられる「野菜だより」のイラストを描いている。宮城のみょうがたけ、浪速の若ごぼう、米沢の雪菜などなど…まだまだ知らないものが沢山あって、絵のモデルに用意してもらった野菜を描き終わったあと食するのも楽しみにしている。

 

 
 
 

母から一枚の絵手紙が届いた。庭に咲いたすみれを描いたもの。
福祉サークルで習い始めたばかりだが、もともと絵が好きな母は結構上手い。そこにはちょっと多めの文字が並んでいた。
「恵津ちゃんも伊勢丹ですみれ描いているかな? 土曜の昼下がり」
一日中お客様の、人のお母様へのプレゼントのために扇子に花を描きつづけて、クタクタに疲れて帰って来た私を迎えてくれた母の絵手紙、ちょっと泣きそうだ。母にはかなわない。この絵手紙には負ける。
毎年そうだ。母の日のプレゼント、自分の母へは後回しになってしまう。
何にしようと慌てる。もう私の手描き扇子は何本も持っているし、勿体無い…とあまり使ってくれないけど。何にしよう……。

 

 
 
 

五月晴れの連休真っ只中、私は扇子の手描きイベントでデパートに缶詰。連日10時間ほど筆を持ちつづけている。
和装雑貨の売り場にはもう色とりどりの浴衣や日傘も並んでいるが、なかなか他の売り場を散策できない。
やっと閉店間際のファッションフロアを横切ると、ほ〜!これがこの夏の流行ですか?なるほどね〜。とキョロキョロ。市場調査市場調査!かなり手作り感いっぱいの帽子に生成りのレースづかいのコサージュをつけて、コケティッシュなタンクトップとブラウスの重ね着。胸元にはかなり大ぶりのネックレスの重ねづけ。少々装飾過多が今年流のよう、白やアイボリーの綿がガーリッシュなのも特徴かな?
ま〜流行を追いかける…というお年頃でもないし、好みもはっきりしているので一応流行は知らないよりは知っている方が…という程度だが、紫外線あふれる五月晴れの陽ざしに、思わず流行に乗ってちょっとかわいい帽子がほしいなー…。そんな気分の初夏でございます。

 

 
 
   <<<4月 6月>>> 

▲TOP
■COLUMN
●HOME
画像の無断複製や使用は固くお断りいたします
(C)2005 ETSU MURANISHI Allright Reserved.