■2017年2月の「絵てがみコラム」
 

目の保養をする機会が続いた。昨年秋86歳で亡くなった日本画家・後藤純男の回顧展。流山市名誉市民第1号、地元の小さな生涯センターでは勿体ないほどの大作の数々、隅々まで気持ちを込めた筆運びに感動さえ覚えた。
銀座教文館での友人のイラストレーター・三好貴子さんの個展も。精力的にぎっしりのスケジュールをすいすいこなす、彼女の制作姿勢も素晴らしい。本当はきっと日々バタバタしているだろうに、作品からは涼しげで優雅な時間を感じる。
友人のお姉さんのギャラリーで開催中だった伊藤哲彦氏の多芸な作品群も大人の工作のようでとても楽しい。思わず小さな作品をゲットしてしまった。
日本橋・丸善での備前焼・木村玉舟先生の個展の最終日に立ち寄ることもできた。私のカエラーぶりに岡山在住の友人が、玉舟先生の蛙の作品を贈ってくれた縁もあり、蛙じゃない作品もいろいろ見せていただけて良かった。
その折に偶然同じフロアで知人のメゾチント(銅版画)作家の生田宏司氏の展示販売会も見ることができた。緻密な銅版画!とても私にはできないしろものだ!
そして上目黒の高級住宅街の中にあるアクセサリーミュージアムへ。ここは2010年にできたコスチュームジュエリーの美術館で、個人邸宅を改装したユニークな美術館だ。貴金属、宝石とは一線を期したもっと身近なファッション感覚のアクセサリーをコスチュームジュエリーと呼ぶ。時代を反映したものが多く私も持っているような、懐かしくカラフルでPOPなものが多い。そんなミュージアムで開催された企画展「オールドノリタケ」の展示とレセプションに招かれてちょっと華やかな席に伺った。明治以降の輸出のための磁器は実用性からはちょっと吐出した華やかさと光を放っていた。そんなレセプションの来賓は日本の工芸界を代表するお歴々で、いろいろ眩しいひと時だった。
目の保養のつもりだったが、あまりに盛りだくさんの1週間。少々目もお疲れ…。

 

 
 
 

両国駅から5分ほど、ちょっと開けた公園の横の「すみだ北斎美術館」に行ってきた。昨年の11月にオープンしたばかりの葛飾北斎の作品を展示した単独の美術館だ。近くに見えるスカイツリーとテイストが似ている鏡面アルミパネルの外壁が、冬晴れの青い空を映してなかなかフォトジェニック! さほど広くない内部は白く明るい空間だが浮世絵などの展示は光からの劣化を防ぐため、とても暗い展示空間になっていた。タッチパネル式の情報端末などを操作しながら、今、仕事がらみで関心のある「北斎漫画」などの細部を楽しんだ。およそ90年の生涯のほとんどを「すみだ」で過ごして、多くの作品を残した北斎。その姿を再現したフィギュア?蝋人形?の北斎おじいちゃんの展示も興味深かった。やはりデジタルとアナログ両方が良い。
両国界隈は昔ながらの古めかしいエリアと思いきや、江戸東京博物館や両国国技館、東京スカイツリーそしてこの北斎美術館と海外からの観光客が多く訪れるエリアとして整備が進み、国際化が進んでいる。多国語の観光パンフレットやインフォメーションなど充実している。SNSやインスタ用など、写真写りが良いようにちょっぴり整い過ぎ?が気になるけれど、これからますます2020年に向けて東京が変化して行くんだろうな〜と感じるひと時だった。

 

 
 
 

ロシアの人形で入れ子になった「マトリョーシカ」って知ってますよね? そういえば描いたことなかったな。
最近では日本でも工作の材料として木製のなにも描いていない「素」のマトリョーシカが手に入る。上下に分かれるところを意識して、3つも4つも描いていく。しかもどんどん小さくなっちゃうので、結構大変なのだ。画廊から「卵型のマトリョーシカ?にも描いてね」と卵型のも届いた。これはイースターイメージだね。これまた卵型…つまり球体なので手が滑って描き辛い…。悪戦苦闘しながらも、新しいことに挑戦している。3月に千葉のスペースガレリアで開催される「マトリョーシカ&EGG展」に参加出品するためです。
それから仕事では、普段あまり使わない筆ペンに挑戦! 筆ペンで描くって仕事! これまた新たな挑戦である。
去年4回開催された古民家ワークショップ、今年は文京区の松聲閣という新江戸川公園内にある趣ある空間での開催が決まりました。都電荒川線に乗って江戸時代の大名屋敷の回廊式庭園を眺めながら…墨とたわむる〜。
秋には今年も銀座伊東屋K-Itoyaでの個展の依頼が。まだまだずっと先のことですが、新しい今年の手帳にちょっと控えていただけたら嬉しいです。どこかでお会いできますように。

■「マトリョーシカ&EGG」展
  3月16日(木)〜26日(日) 千葉スペースガレリア
■「古民家ワークショップ2017(仮)」
  4月29日(土) 午前・午後2回講座
  文京区新江戸川公園「松聲閣
  (都電荒川線早稲田駅より徒歩7〜8分)
■「Gの仲間Azucal」展(デザイン会社時代のグループ展)
  6月29日(木)〜7月4日(火) 千葉スペースガレリア
■「村西恵津個展」
  9月18日(月)〜30日(土) 銀座伊東屋K-Itoya

 

 
 
 

ああ〜1週間早く描きたかった! 1週間早く貰いたかったよね〜なんて、昨日タイムリーに頂いた、かわいい節分の豆を食べながら勝手なことをつぶやいてみた。紅白の煎り豆、アクセントに散りばめられた干菓子は梅と松、小判とおたふく。洒落たことに「鬼」の形をした干菓子は、升の外に添えられていた。塩味の中にちょっと甘みがいい感じ。麻ひもでキュッと縛られた升に入った小さな日本の歳時記といった風情だ。3粒ほどベランダから外へ小さな声で「鬼は外〜」部屋の中にも3粒ほど「福は内〜!」後はひたすら豆を食べ続けている…。
季節の食べ物と言えば今年もイタリア野菜プンタレッラに舌鼓! 行きつけの東銀座のイタリアンのお店情報によると、今年は不作でこの冬はもう入らないかも…と。実は三越本店のイタリア食材売り場で見つけたプンタレッラの種を、実家の母の家庭菜園で栽培開始!家庭菜園仲間の間では謎の植物として「これなに?これなに?」と殺風景な冬の畑の中で育っているプンタレッラが注目を集めているそうだ。しかし葉っぱばかり育って横に広がり、肝心のシャキシャキ、アスパラガスっぽい茎や「芽」のようなものは全然現れず、謎の植物は謎のままやっぱり日本とは気候も土も違うんだろうな〜と、母の苦労をよそに、あきらめかけている。
さて、昨夜おそらく契約農場から仕入れているであろうそのお店で、遅ればせながらの新年会。ドアを開けたとたんに「プンタレッラ、入ってますよ〜!」と思いがけない店長さんの声。プンタレッラファンの友人たちと大興奮! もちろん「ローマ冬野菜のプンタレッラと生たこのアンチョビソース和え」を大盛で注文したのは言うまでもない。

 

 
 
 

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