■2016年7月の「絵てがみコラム」
 

まとわりつくような湿度と熱風、夏の台湾は手強い。しかしホテルや新しいお店や乗り物は冷房が効きすぎている。
冷え切って街に出て歩くことを私たちは「解凍」と呼んでいた。しかしその「解凍」も恐ろしい速さで常温に戻りあっという間に沸騰! そんな時に体を冷やしてくれるのが、人気の「マンゴーかき氷」だ。最近では原宿などにも出店して長蛇の列だそうだが台湾が本場。たっぷりの旬のマンゴーの美味しさは格別! そのうえ、かき氷といってもちょっと違う! 私たちの知っている「かき氷」とは明らかに違う。ふわふわ、しゅわしゅわの雪のような、はかなげな食感。並んででも食べたい…わかります! あっという間に、二人とも無言で一気に完食。美味しい〜。
そして、「カジュアルあんみつ」と勝手に呼んでいた台湾スイーツの定番、「豆花・ドウホア」豆腐のような食感のプルプルしたメイン具材に、仙草ゼリーという黒い、一見コーヒーゼリーかと思う見た目の、あっさりした野草のゼリーやタピオカ、小豆や白玉のようなタロイモのもちもち団子や意外な白きくらげなどを、トッピングした、どんぶり一杯のスィーツ。とっても優しい甘さで、ホッと身体の熱を沈めてくれる。
今回は11月の個展に向けて「美味しいもの」取材という大義名分を引っ提げて、いつにもまして美味探訪なのだ。

 

 
 
 

日本の新幹線技術を導入した日本とほぼそっくりな台湾新幹線で、台北から1時間ほどの台中に日帰り遠足を熱望した理由がもう一つ。台中郊外の普通の田舎の村がここ最近、94歳のおじいさんの手で描かれたカラフルな壁の村として注目されていると知ったからだ。
取り壊し寸前の数件の家屋に「淋しかったから楽しい平和な絵を描いてみた」という通称・虹爺さん。いろいろ想像して何色の服を着ていくべきか、その村の壁をバックに写真を写した時の自分を想像して、同行するMさんと事前に作戦会議。こういう旅の楽しみ方、大好きだ! Mさんはカラフルな色の中にスクッと浮かび上がる真っ白なパンツスタイル。帽子まで白! 私はというと、壁の色柄に同調するほどの色と柄に勝手に挑戦! 人のような動物のような、なんじゃこりゃ?というような不思議な絵や文字や謎の色合い。子どもも大人も思わず笑顔で写真撮りまくり! 遠くからの旅人に、こんな楽しみを与える虹爺さんのパワーすごいと思いませんか? 色や絵の持つパワーすごいと思いませんか?
このあと、未来都市のようにスタイリッシュに開発されている台中新市街も訪問。超モダンな「臺中國家歌劇院・オペラハウス」は日本人建築家伊東豊雄氏設計でオープンしたばかりで、圧倒的なクールな存在感。さっきまでいた彩虹村とは対極の建物…恐るべし!台中!奥深い〜。

 

 
 
 

茶館の池に激しくスコールが打ちつける…丁度良いタイミング、気持ちがいいくらいの雨だ。
旅行雑誌の綺麗なグラビアに惹かれて久々に台湾もいいな…そう思って、その雑誌をパラパラ…思わず手を止めた。見覚えのある、池を囲う趣のある木造の建物、渡り廊下や池に突き出た東屋や風情のある中国茶器。台湾は過去に2度訪れているけど、その茶館は台中市…行ったこともない台中…だけど懐かしく感じる。
思えば15〜6年前の中国茶マイブーム。当時住んでいた文京区の茗荷谷駅前の中国茶ギャラリーカフェ「茶楽」に通い、そこで個展も開催しお店のご夫婦のご厚意でお道具などをそのお店で描かせてもらったりした。雨の日などは、まったり小さな茶壷に何度も湯を注ぎ、香りを聞いてお店に飾られた椿の一枝や珍しい茶菓子などを何時間も描いた。茶器の事、茶葉の事、独特な茶芸…多くの専門書や本場中国や台湾の茶館を紹介した本なども見せてもらった。その中に一番、異国情緒満点で素敵な台湾の茶館の写真を見つけ、描いてみることに。その作品を含めて、「中国茶のある情景」としてセットにしたポストカード集は1000部を売り切った。懐かしい思い出がこみ上げる。
その旅行雑誌のグラビアに、その台湾、台中市の茶館を見つけたのだ。行こう! 日々忙しい仕事に追われ、なかなか休みが取れずに嘆いていた旅好きな友達を、私のわがまま旅に誘った。「週末台湾に行かない? そして台北から新幹線に乗って台中へお茶飲みに行かない?」実行力があることは本当に素晴らしい。私が15〜6年前に小さな写真を見て描いた、その茶館で今、美味しい阿里山烏龍茶を飲んでいる…。一瞬のスコールで豊かな緑が一層つややかに私たちを迎えてくれている。お店の人に、自分の目で確認するために持参したそのポストカードをプレゼントした。とてもとても感激してくれて、手厚いもてなしを受けてしまった。ゆったりと幸せな気分にさせてくれた素敵な雨やどり…。外はもう青空になっている。

3泊4日で訪れた、台湾旅のお土産話を数回に分けてお届けします。
お楽しみに。

 

 
 
 

あら?また果物! 先日のメロン、キウイに続いて思わず冷蔵庫のネクタリン、プラム、さくらんぼを引っ張り出して描いてしまった。夏の盛りに近づいて来ると、果物もどんどん黄色〜赤い物が増えてくるような…太陽の色を吸収して赤くなるのねっ!なんちゃって。今、大好きな果物がいっぱいの季節でうれしいです。プラムとか甘酸っぱいのを刻んでサラダに入れたりしちゃいます。
さて、今週は梅雨らしい湿度満点の日々でしたが、同じ千葉県とは思えないほど、雨の量の差があり、うちのあたりでは大して降らず…。このまま梅雨明けしちゃったら、やっぱり水不足の夏になるのではと心配になります。雨も降ったらゲリラ豪雨! 丁度良い具合…って難しいものなんでしょうかね〜。
さて、来週はちょっと一足早く夏休み。連休? 海の日? 海の日って7月20日じゃあなかった〜? 私の誕生日が祝日になった〜!って思っていたら、いつのまにか変わってるし〜今年から山の日もあるのね? 長期休暇をなかなか取れない日本人、苦心の連休、皆さんも良い休日を。

 

 
 
 

私は人より趣味が少ないほうだと思うのだけど…蛙グッズを集めること。旅行(特に海外)。イタリア語の勉強は細々と続けているけど、あまりの身に付かなさで最近では「イタリア語の勉強をしているフリをするのが趣味」。音楽は偏った趣味で、長年の付き合い…今でも年間15回くらいはライブに行く。絵に関することは、やはり趣味ではなく「仕事」だ。広く浅くの趣味ではなく、数少なく深〜く…しつこい。今年は友人の市民合唱団の発表会を聴きに行ったり、ボサノバのCDを出してライブをするという古い付き合いの友人のライブに行ったり。(全然知らなかった!そんな趣味を超えた芸があったとは!!)
今夜は絵画教室の生徒さんでもある友人の、音楽会に招かれて行ってきた。みんな素敵だ。一人で完結しない、こういう趣味は大変だけど、合体して成し遂げる達成感は格別なのだろう。仕事帰りに月に1〜2度の練習に通っているというアマチュア吹奏楽団の音楽会。彼女はフルート。芸達者な彼女は他にもフラメンコや写真や手芸も。今夜の音楽会に着ていたブラウスも自分で縫ったそうだ。仕事の合間に大変だろうと思うのに、なんとなくホンワカゆったり見えるのは時間の使い方がうまいのだろう。
「趣味」は人それぞれだけど、「日々の生活や仕事に追われて、そんな余裕ないわよ!」と叱られそうだが、ゆっくり時間が出来てから、さて何をやろう…じゃあ、ちょっと遅いような気がする。どれにしよう〜これにしよう〜と考えているうちに歳だけ取ってしまいそう。忙しい中で「あ〜ん!時間もお金もないけど、これが好き!やってみた〜い!」という情熱で選んだものが、生きがいにつながるいい趣味になるのではないかな?…と感じる今日この頃。さて、私は最終的にどの趣味が残るのだろう?

 

 
 
 

梅雨の中休み、蒸し暑い土曜の午後、文京区の古民家・国彩館でのワークショップ夏の回…エアコンのある生活に慣れた身には少々キツイ。
迷いながらもたどり着いた参加者さんを迎えて、冷茶に加えた氷の音や扇風機のちょっと生温かい風…蚊取り線香の匂い…懐かしい昭和の家でしばし、筆・和紙・透明水彩絵の具・墨・数枚のはがき、そして今回は白無地の団扇と戯れる…という感じ。水や風やちょっとメダカなんて泳がせて…描いてみましょう〜。限られた時間ですが、筆の使い方、透明水彩絵の具の水の含ませ具合などをちょっとレクチャーして、すぐに本番にGO!
ええ〜?もう〜?と驚きの声が聞こえてきますが、無視! 思い切りや偶然のにじみ具合や新鮮なインスピレーションが思いがけないきれいな線を生んだりするものです。このワークショップは気持ちいいいことが何より大切。上手にきれいに絵を描こうということよりも。この空間に流れる時間とか、集中力とか、制作後の文京区の銘菓を味わうことも。気持ちいい時間でしたよね?
そんな気持ちいいことを一生懸命企画して、演出を手伝ってくださった仲間や、楽しんでくださった皆さんに感謝です!
古民家ワークショップの様子をWhat's Newにアップしました。
次回は秋の回10月1日です。

※文京経済新聞のWEBサイトに取り上げて頂きました。
記事はコチラ>>>ヘッドニュース
写真はコチラ >>>フォトフラッシュ

 

 
 
 

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