■2007年10月の「絵てがみコラム」
 

7年前の秋、サンフランシスコから南に約200キロ美しい海沿いの街モントレーとカーメルへのバスツアーに参加した。おりしも10月末丁度ハロウィーンの時だった。
途中に広がる広大な芽キャベツ畑、アーティーチョーク畑、そして圧倒的なオレンジ色が目に飛び込むカボチャ畑、といっても、とっくに収穫済みのハロウィーン用のお化けサイズのカボチャがごろごろ。ドライブインというか産直特売所みたいなところで休憩タイム。旅行者の身ではカボチャを購入するのは無理なのでひとしきりお気に入りのカボチャと記念撮影をして、スイカみたいにたたいたりちょっと持ち上げてみたりした。全て英語のツアーだったので集合時間だけは聞き逃さないように必死でハロウィーンとカボチャの関係とかカボチャのくり抜き方とか知りたい事は一杯だったけど何も聞くことが出来なかった。ハロウィーンというとその光景を思い出す。
そもそもアイルランドのケルト人の収穫感謝祭がカトリックに取り入れられたそうで、ケルト人の年の終わりは10月31日、その夜は死者の霊が家族を訪ねる…日本のお盆のような日とされたそうだ。そのとき精霊や魔女も復活すると信じられそれらから身を守るために仮面をしたり魔よけの焚き火を焚いたりでカボチャのランタンを入り口に飾って悪霊が家に入ってくるのを防いだそうだ。
さらに調べてみると、もともとはカボチャじゃなくって白い蕪(かぶ)だったと言う説も。蕪〜?それではあまりにもイメージが違うじゃないか!なぜ蕪がカボチャになったかは不明だが収穫事情や中に蝋燭を入れる為にくり抜きやすさを求めた技術的な事情か?…もし、オレンジ色のカボチャじゃなくって白い蕪だったら…う〜んやっぱりオレンジと黒がいいよね。色のインパクトは大切だ。

 

 
 
 

最近気になるおしゃれ度アップの花がある。ダリアだ。昔から花壇の隅や畑の区切りの目印のように何気なく植えられていて単純な赤やピンクや黄色そしてそのまま立ち枯れて…あんまりファッショナブルな花ではないと思っていた。が、しかし最近すごくゴージャスなこぼれんばかりの大きさの、しかもド・ピンクだったり黒に近い赤だったり、ビロードのようなオレンジ色だったり、おしゃれな花屋さんには必ずそんなダリアが店先を飾っている。
なにかアレンジメントに使ってみたいな〜とイメージが膨らむ。ふむふむダリアに何が起こっているのか? と気になっていたら今日テレビで太田花市場からの花情報としてダリアについて解説されていた。目覚しい品種改良で水揚げも良くなり大変バリエーションが豊かになりました〜と。私の花アンテナもなかなか! そしてこのダリアの波?に乗って菊も進化しているそうです。
若い女性に好まれるようにかわいく丸いピンポン球のような品種、黄緑のスプレー菊も。いままで花束やアレンジメントに敬遠されがちな花材だったけど、ダリアと菊この秋注目です。

先週風邪を引いて珍しく39.5度の熱をだして2〜3日寝込みました。
衣替えのタイミングに失敗したようで、もうタオルケットじゃ寒いよね〜と思っていたら…やっぱり風邪を引いてしまった! でもすぐに復活! 食欲も復活!
大丈夫です! 皆さんも季節の変わり目ご自愛ください。

 

 
 
 

■こぼれ話(1)
ベトナムはフランスパンがおいしい。さすがフランス仕込み。
パンといえばフランスパンなのだ。道端にも小さなワゴンの出店が沢山。ホテルの朝食をおなか一杯食べた後では食指が動かなかったけど、どうやらレバーペーストを塗って葱やニラのような野菜などを挟んでいるようだ。ベトナム料理の本で知ったのだがお料理に「するめ」を使うのも特徴のようだ。

■こぼれ話(2)
骨董通りで蛙の陶器の置物を見つけた(KKWの201番に近日中にアップ予定)。足の形やウルウルした目元も気に入った。100年程前のもので50USドルだという。かなり眉唾だし50USドルは高いだろう。
「10ドル!」「え〜ダメダメ。30ドル!」「15ドル」「25ドル」「う〜ん20ドル!」。ここで必殺業、「ベトナムドンだったらいくら?」「250000ベトナムドン(約2000円)」「う〜んもう一声、220000ベトナムドン(約1760円)」「OK、OK」と言うわけで最初の言い値の3分の一以下でGET。
しかし家へ帰って他のケロ達と並べてみるとどうみても500円と言ったところ……ま〜旅の思い出ということで…。

■こぼれ話(3)
新しいタンソンニャット空港は寒い。特に深夜便では朝からの冷房がまるで空港全体を冷蔵庫化しているようだ。寒がりの私は長袖のカットソーを用意していたが半袖の彼はもう唇の色が変っている。風邪引き寸前だ。やばい。仕方なく空港内で長袖の服を探すはめに。2、3軒の免税店に選ぶ余地のないブランド物の2枚のセーター。あ〜あ。さっきまで50円100円を値切っていたのに24000円のバーバーリーのセーターを買うはめに。私たちはこれをベトナムの陰謀と名付けて機中の人となったのである。

 

 
 
 

ベトナム料理は、かなり好きなエスニック料理の一つだ。ちょっとくせのあるハーブ系の野菜をふんだんに使うのが特徴でヌックマムという小魚を塩に漬け込んで発酵させた強烈な匂いの魚醤が付けタレとして登場する。料理そのものはだいたい薄味で日本人にもあうヘルシーなものが多くこのハーブやヌックマムで好みの味に調整する。
生春巻きもよく知られたベトナム料理だが、ミト―で食べた生春巻きはかなりインパクトのあるものだった。ミト―名物エレファントフィッシュ(象耳魚)丸ごとのフライがど〜んと登場!お店のお姉さんが背びれの下あたりから大胆にもいで、手早く食べやすいサイズにほぐしてくれる。少し小ぶりのライスペーパーに数種類の野菜を置く。レタスっぽい柔かい葉や、どくだみや大葉のような苦味のある葉っぱ。そしてビーフンとちょっと固めのパイナップル!それとエレファントフィッシュを一緒に巻き込む。
唐辛子を浮かべた甘酸っぱいヌックマムにつけてパクリ! 好みでライムを絞っても良い。日本でいう柚子ポン酢感覚ですね。グロテスクな外見とはちがってエレファントフィッシュは淡白な白身魚でなかなかいけるのです。想定外のパイナップルとの組み合わせもおいしく、包まれたライスペーパーの中でドレッシングの役割を果たしているようでした。
ベトナム滞在中の食事はどれも口にあい大満足。値段の安さも大満足。

 

 
 
 

渋滞のホーチミン市内を抜けて、道端のフランスパン売りや水牛が耕す田んぼなどを眺めながら車で約一時間半、メコンデルタの入り口の町ミト―に到着。船着場から小さなモーター付きの木造船に乗り、中州の島に向けて出発!しばし椰子の実のジュースを飲みながら茶色い大河メコン川を渡る。中州の4つの島の中で一番大きなタイソン島は果樹園の島だ。
日本では珍しいドラゴンフルーツやジャックフルーツが実っている。素朴なベンチに腰掛けて島の人が切ってくれたそれ等のフルーツを沢山いただく。おいしい。甘すぎないのもいい。唐辛子や胡椒が混ざった塩を少し付けて食べると甘さが増すからと小皿に出してくれたが、私はスイカに塩をつけるのも好きではないのでそれは辞退。自然な甘さで充分だ。
そして楽しみにしていたジャングルクルーズ。小さな手こぎ舟に乗り換えてニッパヤシの森の中の細い水路を行く。こぎ手は前と後ろに一人ずつ、器用にすれ違う小舟をかわしながら、観光客を乗せて、果実を運んですべるように進む。ニッパヤシの大きな葉っぱに覆われたうっそうとしたジャングルが静かに静かに過ぎていく。しばらくいくと視界がぱ〜っと広がった。雄大なメコン川に合流したのだ。ここで小舟とはお別れ、再びモーター付きの船に乗り換えてミト―の町に戻った。
この翌日ホーチミン市美術博物館で近代作家の作品を見た。粗末な額縁に収められた油絵や漆による地元作家の作品だ。やはり戦争をテーマにしたものが多い。しかし印象的だったのがメコンデルタのジャングルの中で疲れた兵士と農民達のふれあいを描いたものだ。水や食料を与えたり収穫を手伝ったり、しばしの休息。特に忘れられないのがジャングルの中のハンモックに揺られて眠る女性の絵。凛とした美しい表情、微笑んでいるようにさえ見える。しかし側には銃とリュック。タイトルは確か「蘭の花」。蘭は亜熱帯地方のジャングルの中で大樹に身を寄せて美しい花を咲かせる。
メコンデルタでの体験とこれらの作品の印象があいまって私の瞳に焼きついた。

 

 
 
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