■2007年5月の「絵てがみコラム」
 

雨の銀座でポルトガル料理を食べながら同窓会…と言っても同じ学校の友達ではなく、同じ船の窓から南シナ海を眺めた友達の会…の同窓会だ。
以前にも絵手紙コラムで触れた事があるが、かれこれ6年近く前、ある雑誌の創刊記念で「ビジネスクラスで行く香港と豪華客船ベトナムハロン湾への旅・読者特派員募集」の作文審査に応募して30倍以上の激戦を突破して選ばれた10人で(ごめん!ちょっと自慢!)、旅から帰った後も旅の思い出を育てながら時々会うのだ。全員揃う事はなかなか難しいが、タイミングが合えば遠方からの参加もあるし、数人でのランチだけのプチ同窓会もありで、楽〜な感じで集まってはお互いの会話にちょっと刺激を受け、おいしい物なども食べて帰ってくる。
6年も経てば色々生活環境の変化もあるし、体調の変化もある。もともと年齢も仕事もバラバラだけど素晴らしくいい関係で継続していると思う。
共通のキーワードは「旅行」、この話題には特に敏感で、今年はポルトガルに注目?…らしい!の情報に今回はポルトガル料理の店での同窓会となった。
塩味のきいたムール貝やあさりのお鍋をつつきながら、また何処の同じ窓から何を見ようか…と話は弾む。
同窓会当日、連日の晴天が嘘のような大雨。 そういえばベトナムハロン湾の船旅もず〜っと雨だったね!と同じ窓から見た景色は今も色あせずにみんなの心に残っている。雨さえもいい思い出だ。

 

 
 
 

美味しそうに彩りよく盛り付けられた料理を見る機会も増え、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなったが、今日、目を見張るような美しい料理に遭遇した。なかなか予約の取れない人気の店だそうで、ラスト1テーブルをゲットしたのでランチを兼ねた打ち合わせにしようと、嬉しい誘いがあったのだ。
おしゃれなトマトを丸ごと器にしたサラダ、バジルの利いたボンゴレビアンコに続いてメインディッシュ。赤紫のイタリア古代米のリゾットの上に白く蒸しあがった金目鯛。周りに黄色、黄緑、緑、ピンクの可愛くカットされた温野菜。白いスクエアなお皿にそれは実にカラフル!
見とれているとそこに、サフランのコンソメスープです…と目の前で料理の周りに注ぎ入れた。白いキャンパスにオレンジ色の絵の具を流したような目にも鮮やかな憎い演出だ。思わず「わ〜綺麗!」と声をあげてしまう。
色の効果とは本当に不思議なもので白いベースでも充分美しかったのだが、そこにオレンジ色が加わる事でもっと気分が高揚して、加わった色で味の変化を想像して益々興味津々の料理に変身する。よ〜く考えてみると、ちょっと派手めの鯛茶漬け?…ってことになるんだけど。
美しい料理に遭遇するとなんか一日華やかな気分で過ごせる、不思議なパワーの一皿でした。

 

 
 
 

躑躅(つつじ)字画の多い難しい漢字だ。知ってました?書けますか?
町の植え込みに一杯ピンクの鮮やかな花を咲かせているのに、身近すぎてそのへんに一杯咲いているから改めて、しみじみ愛でたり花屋で買う事も無い。でも県花や市の花になっているところも多く広く親しまれている花と言えるだろう。
私は学生時代の通学路を思い出す。渋谷の専門学校に通っていた私の通学路は地下鉄の表参道駅から地上に出てオリンピック競技場の脇を通って渋谷公会堂の方に向かう。GW前後、鮮やかに道路脇の躑躅がピンクの花を咲かせて表参道のけやきも一気に緑萌えるまぶしい季節だ。アルバイトと課題に追われて寝不足の身には、まぶし過ぎて緑の息吹のようなものが強すぎて、よく貧血や立ちくらみを起こして通学路の途中でひと休みしていた。躑躅の植え込みの横にしゃがみこんでしまうこともしばしば。でも休まず学校に、遊びに、アルバイトに毎日めいっぱいだった日々を懐かしく思い出す。

今年も伊勢丹での手描き扇子のイベントも無事終わりました。
お忙しい中、暑い中駆けつけてくださったみなさん有難うございました。

 

 
 
 

散歩圏内に護国寺がある。五代将軍徳川綱吉の母、桂昌院によって建立された立派なお寺で桜や紅葉の美しい時期に2・3度訪れたことがある。
そこで砂曼陀羅の制作風景が見られるよと友人からユニークなイベントの情報をゲット。「チベット・スピリチュアル・フェスティバル07」日本とチベットの文化交流を目的にチベット僧を招いた本格的なチベット仏教体験、そこで数日かけて制作される砂曼陀羅が見れるというわけだ。
さて、チベットとはどこにあったっけ?イベントガイドブックによりますと。ヒマラヤの山麓…中国の侵攻によって併合され、現在は「チベット自治区」になっている。面積は日本の7倍、平均標高は4000メートル(わー!酸素薄いのがチョー苦手な私は聞いただけで頭がガンガンしてきますが…)7世紀にインドから仏教が伝来、17世紀にはダライ・ラマ法王を政教両面の最高指導者とする体制を確立、1959年インドに亡命。北インドでチベット亡命政府を樹立、今も中国との交渉を続けている。…なるほどチベット人がすでに少数民族になりつつあるというのもうなずけます。
以前テレビで一目見ただけで悪業さえも清める事ができる、仏が住む宇宙を表現する「砂曼陀羅」、祈りとともにこつこつ作り上げたものを最後は川に流して「無になる」と紹介していて宗教的なことは良くわからないけど見てみたいと思っていたのだ。
それは思ったよりはるかに小さなものでなんとなく勝手にヨーロッパの広場で花びらなどで描かれたタペストリー風の物のスケールをイメージしていた。しかしそれはコタツ板を二回り大きくした程度の大きさで僧侶たちが7〜8人で取り囲み、ひじあての枕を抱え込むようにチャクプと呼ばれる細い筒のようなもので、細かいパウダー状の聖砂(色の砂)をたたきながら流しこむように繊細に繊細に描いていく。護国寺本堂の厳かなろうそくの灯りのもとで気が遠くなるような細かな作業が続く。
何事も実際に見るって大事な事だよね〜境内の青空チベットカフェでバター茶を飲みながらチベットとの小さな出会いを感じていた。

 

 
 
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