■2019年6月の「絵てがみコラム」
 

銀座線の各駅、ホーム、通路が来年のオリンピックに向けて大改装中だ。「外苑前」で降りて、工事シートに覆われたホームから改札を出て神宮球場じゃない方にぐんぐん歩く。歩き慣れた道だ、懐かしい! 90年代前半、南青山3丁目このエリアに5年ほど暮らしていた。10年務めたデザイン会社を辞めて、独立してフリーになった時に一人暮らしを始めた懐かしい町だ。マンションという名のハイツ程度の部屋は立体駐車場に姿を変えて、好きだったベルコモンズはもう無い。ランドマークの大きなビル程、変わってしまっている。
渋谷や原宿と違って麻布から千駄ヶ谷に抜ける外苑西通り、通称「キラー通り」はちょっと大人っぽくて個性的な店が点在し、がやがやしていないところが好きだった。キラー(殺人)通りと言う物騒な名前の由来は諸説あるけど、確か青山墓地が近いからとか、殺人的に渋滞するからとか、お洒落な男が車から声をかけると思わず女が誘惑に負けて、ふらっと…だから女殺しの通りとか。そんなことを聞いた記憶があるけど。
相変わらず車は多いけど人通りは少ない。渋谷での打ち合わせの前にちょっとテキスタイルのフェアを見に行きたくて、久しぶりにキラー通り、外苑西通りを歩いてみたという訳。不思議なことに大きなビルは姿を変えているのに、小さなでも個性的な店は変わらずに存在していたりする。お客さん来るのかな〜、よくやって行けるな〜と心配になるようなマニアックな品ぞろえのポストカード屋さんとか、多肉植物だらけの花屋さんとか西洋民芸品店とか、品数の少ないメガネ屋さんとか何屋さんかわからない店とか…。へ〜まだあるじゃん! さすが、外苑西通り! そんなことを思いながらどんより梅雨空を見上げながら…。

 

 
 
 

「肝機能の数値がちょっとだけ上がっちゃってますね〜飲酒とか…食べ過ぎで肥満とか…」「はい! それです! お酒は飲まないけど、心当たり山盛りです!」今週は美味しいお誘いも続き、出かけた帰りに外食〜!ばかりの1週間だった。特に月曜日はウズベキスタンに一緒に行った友人と、ウズベキスタンを舞台にした映画「旅の終わり世界のはじまり」を見に行って…映画は自分発見の青春映画という感じで、異国で無謀な行動をとり、それでも親切なウズベク人に心を開こうとしない主人公に突っ込みどころはいっぱいだったけど。ウズベキスタンの印象がまだホットな私たちにとっては、道の埃っぽさやガタガタ道、現地の人たちの友好的な感じ。そうそう! そんな感じだったよな〜と。そして主人公よりよっぽど私たちの方が「交流」出来ていたよね〜と。
そんなことを話しながら締めくくりに、やっぱりウズベキスタン料理を食べたいとスマホで検索! 高田馬場で見つけたその店は10人ほどで一杯になるカウンターだけの小さな店。月曜日の夕方なのに満席で20分ほど待たされた。私たちの後にもどんどん道端で順番待ち。きょろきょろ見回しても日本人は私たちだけ! 私たち以外100%ウズベク人だわ〜、現地でもツアーだったのでこんな経験は初めて。ちょっと緊張したけど、唯一言えるウズベク語の、こんにちは「アッサロームアレイクム」とありがとう「ラフマット」を思い出して声に出してみると、一気に店内が和んだ。「おお!ラフマット〜、すごいですね〜」と。焼き肉まんのようなサムサ!美味しい〜羊肉なのに臭みがないね〜レーズンがいっぱい入ったウズベクのソウルフード、プロフ(ピラフみたいなもの)とキュウリとパクチーのサラダも懐かしい味〜。そしてチキンの串焼きシャシリクも絶妙な香辛料で美味〜お腹いっぱい〜と言いながらも完食!「美味しい」のウズベク語も覚えておくんだった。
旅の余韻まだまだ続く。値打ちあるな〜こんなに楽しめたらね。しかしちょっと控えなくては…カロリー!

 

 
 
 

本格的に梅雨らしいここ数日。鬱陶しい気分で日々の忙しさに追われている。楽しみにしていたウズベキスタン旅行も終わっちゃったし、人の旅計画の話を羨ましく聞いたり、先日のワークショップの写真を整理したり…今年の後半の心の準備がまだまだできていないって感じだ。しかし、心の準備はできていなくても新しい計画はスタートしている。ワークショップ「色彩と墨にたわむる…」のチラシの表裏でお伝えした「庭園絵てがみ巡り」という企画だ。なんだか素敵な眺めの良いところで、ゆったり絵を描くなんて贅沢で豊かな気分になるよね〜…そんな時間持ちたいよね〜…。どうやったらできるかな〜? 実行してみようよ! と名園の眺めの良い和室をお借りして季節の一筆を。
今回は特に夏支度と題して団扇に描いてみようと。出来過ぎにもそこの名は「涼亭」、江東区・清澄庭園内の東京都選定歴史的建造物だ。なかなか足を踏み入れる機会の無い所だ。清澄庭園も都会にありながら名前は聞いたことあるけど行ったことないな〜と言う人も多い。名石の庭と呼ばれる明治の代表的な「回遊式林泉庭園」で、昭和54年に東京都の名勝に指定されています。まだ梅雨のさなか、雨の庭かもしれません…それも風情があるかも…。ちょっと贅沢な時間、「涼」を迎えに行きませんか? 参加者募集中です。
・7月12日(金)11時〜15時
(受付10:30〜昼食休憩1時間を含みます。お弁当付き)
・清澄庭園内「涼亭」にて、団扇に水彩画を描きましょう
詳しくはWhat's newをご覧ください。
お申し込みはアトリエNESTか、この私のホームページの「お問い合わせ」からお申し込みください、追ってこちらからご連絡いたします。

 

 
 
 

春先から温めてきたワークショップ「色彩と墨にたわむる…文京区肥後細川庭園・松聲閣」が、日曜日に無事盛況のうちに終えた。梅雨入り前の緑豊かな庭園を臨みながら、今回はちょっとエキゾティックにテーマカラーを「青と緑のあいだ…」と決めた。
実はなかなか日常に溢れた色ではなく、目立つけど取り入れにくい色と言えるだろう。イスラム建築のタイルによく見られるそれらの色は、日本人には正直、あまり馴染みのない色なのかもしれない。だって、一番近いのが「ブルーシートの青」って感じよ。いわゆるターコイズブルーとかピーコックグリーンとかエメラルドグリーンとか昔は岩絵の具の原料の鉱石としての色…であったが、その憧れは科学的な化合物やコバルトなど化学(ばけがく)的な変化によって作り出された自然界になかなか無いものだったのだ。日本では「新橋色」として知られている。大正時代に化学染料で表現できるようになった色として新しもの好きな花柳界、とりわけ新橋の芸者衆の着物の色として大流行した。思い描いてみて! ターコイズブルーのようなあいまいだけど個性を自己主張したような鮮やかなブルーと、黒と白の縦縞の大胆な着物を。そのハイカライメージは現代の人工的なハイテクノロジーなイメージと相まって、ハイテクな企業や商品のロゴマークによく使われている。
そんな趣旨を組んで今回も御贔屓な花屋さん「こぶしの木」さんは人工着色したターコイズブルーのバラをメインにデルフィニュームなどを用意してくれた。スタッフの庭からたくさん切ってきたローズマリーの良い香りが室内に漂い、シルクロードをイメージして和紙の帯に砂漠とらくだを描いた。ウズベキスタンや以前訪れたモロッコで写した風景や建物の写真を旅の便り風に散りばめ、大量に撮影してきた「青いタイル」をパネルに貼り、本物のタイルのように演出。およそ和室に似合うとは思えない、しつらえであった。お菓子までスタッフの友人「ウアムリア」さんがエキゾティックなものを特別に用意してくれた。濃いめの紅茶とよくあった甘くてスパイシーな珍しいお菓子。ますます「豊かな時間」として皆さんにも喜んでもらえた。
参加者は最初は戸惑いながらも最終的には自分の世界の中の「青と緑のあいだ…」をそれぞれの作品に表現されていて、毎度ながらびっくり! 今回は小学5年生の女の子の一人参加もアリ、とても嬉しかった。参加してくださった皆さん、ありがとうございました!
そのしつらえの様子やワークショップの様子の写真をWhat's newにアップいたしましたので、お楽しみください。

 

 
 
 

今、「ディル」にはまっている。ウズベキスタンで食べた料理に頻繁に入っていて、再現しようと思ったらこのハーブが欠かせないと思ったのだ。ちょっと小洒落たスーパーで見かけることはあったけど、自分で買って料理に使ったことは無かった。少し癖はあるけどツナや鶏ささみなどとの相性も良いと思えて、ウズベキスタンのブハラで食べたきゅうりのサラダを再現して連日食べている。
やや大ぶりに乱切りしたキュウリをざっくり塩もみして水けをきる。ツナ缶か茹でた鶏ささみをほぐす。直径5〜6ミリの青ネギを4センチくらいにぶつ切りしてそれらと混ぜる。味付けはちょっと塩コショウとゴマのドレッシング。それとねぎに合うと思ってアレンジ、練わさびを少し加える。最後に適当にちぎったディルを加えて出来上がり! そうそう、ウズベキスタンではそこに青い干し葡萄が入っていたけどそれは無かったので、今安い皮ごと食べられるオーストラリアの生のブドウがあるので、それもパラパラとくわえて出来上がり!キュウリも生の青ネギもバクバク食べられて、夏向きのサラダメニューだと思うのよね。お試しあれ。
さて、2日・日曜日は約1年ぶりの文京区肥後細川庭園・松聲閣でのワークショップ「色彩と墨にたわむる…」の開催である。おかげさまで満員御礼。今回のテーマカラーは「青と緑のあいだ…」ウズベキスタンで浴びてきたターコイズブルーなどの異国情緒ある色を一緒に楽しみたいと思っています。次回はその報告を。

 

 
 
 

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