■2016年12月の「絵てがみコラム」
 

毎年、年の瀬にはシクラメンを描いている気がする。今年はとても見事な鉢植えをいただいた。エレガントなピンクのグラデーションで、花びらがスタンダードな物より、ちょっとひらひらフリンジが効いている。今年の描き納めにふさわしい豪華さじゃないかな?
さあ、今年最後の絵手紙コラムを描き終えたら年賀状の宛名書きだ。個展のお礼状も兼ねる時は、例年よりちょっと多め約300枚をできるだけ毛筆で…誰も気にしてなんかいないだろうけど、年中筆と墨を使っている身としては、書き納めというか書初めというか…何となく自分に課した課題というか…書道をちゃんと亡き父に習っておけば良かったと後悔するほど、ちゃんとした習字は得意ではないんだけどね。
母の周りでは高齢に伴って、「もう年賀状は出さない宣言」をする人が増えているそうだ。確かに眼も見辛いし、手は震えるし。出す相手も減っていくし…ということらしいが、「そこは右に倣えをする必要はないよ!いつまでできるか挑戦だ!って気持ちでいいじゃない!」と私。母は鶏の絵を特訓して家のプリンターでコピーして早々に持ち帰った。そしてとっくに投函したらしい。そんな実家には元旦に私の年賀状が届かないと叱られるのだ。1年前からわかっていることなのに元旦に年賀状が届くように段取れない、そんな生活ぶりを母は許さないのだ。変な親子! 私たちにとっては年賀状は新年のあいさつなんかじゃなくって叱咤激励!意地の証明なのかもしれない。
さて、今年もこの絵手紙コラムをご愛読いただきありがとうございました。この「絵手紙」というキーワードで検索したことがきっかけで、ずっと見てくださっていた方と個展でお目にかかれたり、「モダン絵てがみ」の出版に繋がったり、講座やワークショップに繋がったり…おかげさまで、実り多いものになっています。2005年の元旦から始まった、この絵手紙コラムもなんと12年!干支が1周しました! すごくないですか〜? ほぼ週1で更新して! 継続は力なりですよね〜〜〜!? 自画自賛して今年の締めくくりにしたいと思います。
楽しい年末年始でありますように。火の用心でね! 良い年をお迎えください!

 

 
 
 

結構、遺跡とか洞窟壁画とか…昔の人が作ったものが好きだったりして…。
上野の国立博物館で開催中の「ラスコー展」を見て来た。2万年前にクロマニョン人によって描かれた世界遺産の洞窟壁画の特別展だ。もちろん壁画をフランス・ラスコーから持ってくることは不可能で、現地に行っても見物人の吐く息や空調設備によって急激に壁画が劣化して、とっくに封鎖されもう見ることはできない。そこで現代の最新テクノロジーを駆使した、かなりリアルに再現された科学博物館的な展示だ。
社会科見学の学生たちに混ざって氷河期の人間がどんな姿でどんな道具で何のためにどうやって描いて壮大な壁画を残したのか…2時間くらいじっくり見入ってしまった。最も興味深いのが今と全く同じ姿の縫い針を動物の骨で作って裁縫をしていたらしいということ。発掘された骨や装飾品から復元された姿は今年の秋冬ファッションと言ってもおかしくないほどお洒落ないでたち。狩猟の道具にもちょっとしたデザインや模様を施してあったりしてびっくりする。壁画はお洒落なインテリアという訳ではないだろうが、秀でた芸術性に感心する。
ホモサピエンスの起源はアフリカからと知られているが、そういえばモロッコに行った時に原住民ベルベル人の装飾品や道具のデザイン性に驚いた。もしかして世界で一番おしゃれなのはアフリカ人かも?とその時に思ったことを思い出した。その直感は正しいのかもしれない。

 

 
 
 

個性派とか少数派と言われることには慣れているし、それも悪くないと思ってはいるけど、あまりにも一般大衆と意識がずれていることに愕然とすることがある。今年の流行語大賞の「神ってる」なんて一度も使ったことないし布石である「神対応」なども、そんなすごい状況に遭遇したこともない。みんなそんなに神がかったことに出会っているのだろうか…。動画サイトで世界的に注目されているピ●太郎さんのアップルペンだとかパイナップルペンだとかも、何がそんなに面白いのかさっぱりわからない。大人気の映画「●の名は」も、どれどれ?と見てみたけれど、老若男女が涙ぽろぽろ何度も見た!…て?え〜どうして〜!?そんなに名前にこだわる意味も理解できないし〜。画像がきれい? 確かに! でもそもそもアニメは絵空事。綺麗に描けばいいわけだし…。あまりにも???だらけで不安になる。自分はそんなに変わり者なのだろうか。国民的熱中度合いが理解できないのだ。ポケモンGOもLINEも無縁だし、それで不便に感じた事もないんだけど。
かなりの芸能通だったのに、紅白歌合戦に知らない歌手が出てきた頃から、レコード大賞を獲った歌すら口ずさめなくなった頃から、ポツーンと一人。こうやって時代に取り残されていくのかしら…とちらりと思いながらも、単純に歳のせいだけじゃない、好みの多様化!そんな時代!勝手にそう思うことにしている。ま〜いまさら多数派に溶け込もうとする必要もないしね。少数派でもいいじゃん! 我が道を行くモン、GO!
今年も残り少なくなってきましたね…。

 

 
 
 

冬晴れの土曜日、今日は古民家ワークショップ4回目冬編の1日でした。スタッフの一人が「一生に一度は富士山を描いてみたいよね〜」「え?登るんじゃなくって描きたい?」筆や絵の具を使うのも何年ぶり?何十年ぶり?そんな方々も含めて、今回は富士山に挑戦してみようということになった。
私も個展が終わった瞬間から来年の干支である鶏と富士山を改めて練習の日々をなんとかこなし、本日本番! 3枚の色紙に「自分だけの富士山」を。水彩絵の具のにじませ方、墨の勢い、強弱、塩まき技法まで、私のワークショップは容赦なくずんずん進む! 戸惑いながらも、きれいな夕焼け色の富士山、朝焼けに照る富士山、冷たい空気に包まれているような富士山。みんなそれぞれの富士山がどんどん出来上がっていく…。日々の忙しさや体調や悩みやら…いろいろ抱えながらも、ここに集まって僅かな時間を共有。絵の具や墨に心溶かしてゆくように、色紙にきれいな色が滲んでゆく。
「あ〜楽しかった〜! 来てよかった〜!」そう言ってもらえて私はもちろん企画してくれた仲間たちも感激。その言葉に準備の疲れも吹き飛んだ。今年春から季節を追って、ささやかながらも室内のしつらえやテーブルの演出、お茶菓子のセレクトなど自分たちが楽しみながら実践して、好評のうちに終えられたこと良かった〜!と思っております。参加してくださった皆様ありがとうございました! 来年もまた、何らかの形でこのワークショップも継続して行けたらと思っております。
11月の個展の様子をExhibitionsにアップしました。この場をお借りして、あらためて両国での生徒さんたちの作品展、私の個展、そして今回のワークショップなどなど足を運んでくださった方々、関心をもって下さった方々にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

 
 
 

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